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梓「こうかん!」

このエントリーをはてなブックマークに追加 コメント (0) | カテゴリ: けいおん!SS | 更新日: 2011/03/09 12:00
梓「こうかん!」


1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:22:50.00 ID:1CSH00Bu0


中野梓の所属する軽音部には 所謂「憧れの先輩」がいる

それは部長を務める田井中律ではなく

いつも優しい琴吹紬でもなければ

彼女の音楽観に強い影響を与えた平沢唯とも違う

大人のような雰囲気を持つ秋山澪だ

小さくて 顔立ちも幼い梓にとって彼女の存在は

まさに希望

といっても 全てが大人びているわけでもなく

非常に臆病な面もあるのだが 

そこがまた一つの愛嬌であり

梓は ただただ

秋山澪のような女性になりたいと思い焦がれていた


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:24:34.78 ID:1CSH00Bu0


本日の部活動もいつもと同じ

唯と律が怠け

紬が甘やかし

澪が喝を入れて活動を開始する

自分の声には動いてくれない唯達も 澪の掛け声には従って動くのだ

尤も

菓子の値段に比例して唯達の怠けも強力になるため

最近では必ずしも成功するわけではないのだが・・・



「澪先輩みたいになりたいけど・・私には・・」

足りないものが多過ぎる

努力でどうこうなるものではない

いっそのこと

今の自分と交換して欲しい

そんな夢物語を思い浮かべていた彼女は ある日怪しくも厳かな老紳士に出会う


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:25:55.06 ID:1CSH00Bu0


それは帰路の途中 突然現れた

まるで魔法でも使ったかのように、全く気付かぬ間に 

目の前にいた

白い口髭を僅かに揺らしながら

その老紳士は口を開く

「あなたは誰かと入れ換わりたい そう思っておられますね?」

「は?」

梓は眉をひそめて 質問を質問で返した

「・・いや、あなた誰ですか?」

「おやおやこれは申し訳ない。この私 毎回話の順序というものを見失いがちでありまして・・」

老紳士は笑いながら自己紹介を始めた

未来から来たという 道具を売ることで人々の不満を解消する便利屋

特別な代金は不要

ただし 受け取った道具は責任を持って管理・使用すること・・


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:29:12.35 ID:1CSH00Bu0


「なんだか嘘臭い・・・」

「・・・」

にわかに信じがたい話だが 

梓が澪のようになりたいと思ったことを当ててみせたこの老紳士は

確かにただの不審者というわけでもなさそうだ


結局

彼女は「誰かと入れ換わることができるカメラ」を貰った

「そのカメラでまずあなたを撮影し、その後 入れ換わりたい人を撮影します」

「それだけ・・?」

「はい。あなたとその人間は入れ換わります」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:30:28.67 ID:1CSH00Bu0


澪の高い身長や淡麗な容姿を思い浮かべる

それが 手に入る

「戻りたい時はもう一度 自分と相手の写真を撮り直してください」

「・・・・ありがとうございます」

入れ換わる

その手段では根本的に自分を変えるとこはできない

わかっていながらも 彼女は

素直に礼を言って

素直に喜ぶことにした


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:34:57.04 ID:1CSH00Bu0


帰宅し カメラをよく見てみる

見た目だけなら今時のデジタルカメラと大して変わらないが

底に横長い穴が空いている

恐らく ここから写真が排出されるのだろう

それ以外のシャッター フラッシュ ズーム諸々

大抵の機能は揃っているし、それもかなり高性能なようだ

「どうせ入れ換わる為のカメラなんだから、こんなにいらないと思うんだけど・・」

ともかく善は急げ と

彼女は母親に頼んで自分を撮影してもらう

「どうせなら、楽しく撮った方がいいよね」

女子高生らしく 

満面の笑みとピースサインでポーズを決めてみた

一応記念として 財布に写真をしまっておく


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:37:42.50 ID:1CSH00Bu0


翌日

鞄にカメラを忍ばせて放課後のティータイムを待つ

授業も耳に入らず 緊張に胸を高鳴らせていたが

1つ気になることがあった

「でもこれって 澪先輩が私になるんだよね・・?」

梓は澪に憧れる

しかし

「澪先輩は私になりたいわけじゃないんだ・・・勝手に入れ換わるとやっぱまずいかも・・」

逆の立場の澪からしてみると 

ただの嫌がらせになってしまうかもしれない

結局梓は 澪とよく相談して合意を求めることにした

「少しだけなら きっと変わってくれるよね」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:40:42.44 ID:1CSH00Bu0


授業が終わり 音楽室へ続く廊下で澪を見付ける

「澪先輩、お願いがあるんです!」

「ん、梓か。どうしたんだ?」

「あの、ちょっとの間でいいから 私と入れ換わってください!」

「・・へ?」

梓はカメラの説明を始めた

いかにも眉唾物な話だが 梓は真面目で素直な一年生

普段から信用を置かれていたこともあり

澪は信じてくれたようだ

「じゃあそれで私を撮るんだな?」

「はい。いきますよ」

「あ、待ってまだ心の準備が・・・」

「はい チーズ」

パシャリ とフラッシュが光り

カメラの底から 戸惑い顔の澪の写真が出てきた


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:43:03.71 ID:1CSH00Bu0


「・・・・・・あれ?」

「・・・・・・え?」


老紳士に説明された通り 二人分の写真を撮った

手順に何の問題も無い

しかし 違う

梓は梓のまま 澪は澪のまま

変わらない 

何の症状も無い

「やっぱり・・その人の話 嘘だったのかもな・・・」

「え、私、騙されたってことですか!?」

あれだけ思わせぶりなことをしておいて

随分性質の悪いイタズラだ

騙されたなら自分にも非があり それの鬱憤を晴らせぬまま

憤りながら梓は音楽室の扉を開けた


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:47:35.87 ID:1CSH00Bu0


「あずにゃーん!」

先輩の平沢唯の声を聞き 梓は身構える

唯はといえばいつも梓を猫のように可愛がり

嫌といっても抱きついてくるのだ

今日はとてもそんな遊びに付き合ってられないと 

一つ厳しく言ってやろうとしたその時

「ゆ、唯?」

どさりと 唯は澪に抱きついた


一瞬

時間が止まったような衝撃に襲われる

唯が澪に抱きつくなんて そうそうあったものではない

そもそも、梓の名を叫びながら澪に抱きつくなどおかしい

「部活前にはあずにゃん分が必要なんだよねぇ」

唯はそんな事を言いながら胸に顔を埋めていた


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:50:35.72 ID:1CSH00Bu0


わざと名前を間違える そんなイタズラを思いついたのだろうか

「唯先輩、なにしてるんですか・・?」

「へ、澪ちゃんどしたの?  同学年で先輩なんておかしいよ~」

どうやら今日の唯は梓を澪として扱うらしい

なんともわかりにくい遊びをするものだと思いながら席に着くと

部長の田井中律が声をかけてきた

「おい澪」

「・・・え、私ですか?」

「お前以外に澪がいるかっ! そこ梓の席だろー」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:51:25.79 ID:1CSH00Bu0


軽音部のお茶では席順が決まっている

梓が座ったのはいつも通り 間違いなく自分の席だ

律もふざけているのだろうか

いや それにしては反応がおかしいように思える

困惑しているところで 

澪が律に言う

「なぁ律、昨日送った歌詞の話だけど・・・」

「梓~ いつから先輩を呼び捨てにできる程偉くなったんだ~?」

律は目を光らせ澪にチョークスリーパーをかけようとするが

澪の拳骨の前にあえなく撃沈した


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:54:12.53 ID:1CSH00Bu0


梓は澪に耳打ちする

「何かおかしくないですか・・? というか おかしいです絶対」

「うん。唯は私のこと梓って呼んで抱きつくし・・」

「律先輩は澪先輩には絶対手をあげません。私ならともかく・・」

「じゃあこれは・・」

「そうですね・・肉体じゃなくて、立場というか 人間が入れ換わってるんですよ」

カメラを使用しての入れ換わりは

梓に部に喝を与える権限こそ与えたが 

見た目には 高い身長も豊満なボディも澪本人から動かさなかったのか


「どうします・・?これ やっぱり元に戻しましょうか・・」

「いや 梓の気分は味わえるし、これはこれで楽しいよ。もうしばらくこれでやってみようよ」

二人は試しに数日間

この状態でいることに決めた


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 00:57:44.27 ID:1CSH00Bu0


―――――――――――――

「梓、肩を揉め!」

「は?」

律が澪に言う 今の澪は、周りの人間から見れば梓だ

しかしそれにしても

「なんで私が律・・先輩 の肩を揉まなきゃならないんだ・・ですか」

「昨日ジャンケンで決めたじゃんか」

「げ・・何時の間に・・・」


何だか申し訳ないが 助かってしまった

不満気に肩を揉む澪を見ながら梓がそう思っていると

律は梓を見てニヤニヤ笑いだす

「澪ー この前貸してくれたDVD返すぞー」

「・・・・あ、私か ありがと」

渡されたDVDの箱を開けてみると いかにもなホラー映画のディスクが入っていた

目の前を見ると律が今か今かと反応を待ちかまえている


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:00:33.32 ID:1CSH00Bu0


正直こんなものてんで怖くないが

とりあえず・・


「ば、バカ律っ・・センパイっ」

殴ってみた







コチン と拳骨

自分の手が痛むくらい少し強めにやってみたのだが

律は目をキョトンとさせている

「・・ありゃ? 今日は随分手加減してるんだな」

自分が非力なのか

澪が強いのか

それとも律が丈夫なのか

どれともわからないが 澪は何か気まずそうな顔をしていた


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:03:23.41 ID:1CSH00Bu0


梓がふと時計を見ると あと1時間で下校時刻だ

少し声を強めて言う

「さぁ練習です・・だぞ!」

それを聞いた部員はティーセットを片付け

各々楽器を用意し始める

先輩達が 自分の言うことに耳を傾けてくれた

ただそれだけのことに

「す、凄い・・流石澪先輩・・・!!」

梓は猛烈に感動していた



しかし

「なぁ梓・・不味くないか・・?」

「はい?」

「楽器・・・」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:07:23.47 ID:1CSH00Bu0


「た、確かに・・お互いの楽器のこと、すっかり忘れてました・・」

「とりあえず、元に戻ろう!」

「バレちゃ入れ換える意味も無いですしね」

結局二人はトイレに行くと抜け出し 

互いに写真を撮って元通りになった

「そういえば授業もバラバラ・・」

「そうですね、学年違いますし・・頭の中身は変わってませんもんね」

正直 手間だし

正直 忙しないが

二人共この貴重な体験をしばらく手放したくなかったし

しかし 授業や練習を台無しにするわけにもいかないので

とりあえずは入れ換わりを続け 

朝 約束した時刻と練習時だけは元に戻ることに決めた


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:10:04.75 ID:1CSH00Bu0


帰り道

梓は再び澪と入れ換わる

道を歩いていると すれ違う男性が皆こちらを振り向いた

いままでに無い感覚

遠くの女性達が梓を見て スタイルがどうこうと騒いでいる

かつて無い快感


どうやら思っていたものと少し違い

入れ換わった対象 ―この場合は秋山澪だが― の姿さえもが

梓を包んでおり

周りの人間からは彼女がスラリとした美女として映っているようだ


これは彼女の想像以上に 彼女の期待以上に

心に悦楽をもたらした


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:10:59.98 ID:1CSH00Bu0


その後しばらくの入れ換わり生活

梓は楽しくて仕方なかった

先輩達に嘗められることも無い

休日街を歩けば必ず声をかけられるし

澪の家庭は自宅のように居心地が良かった


律から何度も しょうもないホラートラップを仕掛けられるのが

不満と言えば不満だが・・


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:12:24.09 ID:1CSH00Bu0


朝8時 

梓はいつものように澪と入れ換わる為 トイレで待っていた

両者自分の学年の授業を受ける必要があるからだ


「あ、澪先輩 おはようございます」

「梓・・・」

疲れ果てた表情でトイレに来て 澪は梓を睨んだ

今の梓とは正反対の淀んだ雰囲気

「・・澪先輩?」

「もう無理・・今日でやめよっか コレ・・」

「え!?」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:14:36.39 ID:1CSH00Bu0


話を聞くと

梓になった澪の方は散々だったようだ

彼女自身の性格も変化に強いものではなく

ストレスが溜まりに溜まって 今に至る

「すみません・・私の自己満足に付き合ってもらって・・・」

「いやいいんだ・・」

申し訳ない気持ちで一杯だが 何とも名残惜しい

勿体無い



シャッターを押して

梓は澪を終えた


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:17:20.47 ID:1CSH00Bu0


しかしこうなると 次の対象を探したくなる

出来れば勿論 澪のような大人びた人が良い

とはいっても顧問のさわ子のように本当の大人になっても

仕事をこなすことなどできそうにない

悩んだ末に梓は

同じく軽音部先輩の琴吹紬を選んだ

いつも落ち着いた社長令嬢

その生活はきっと楽しいし 珍しい体験ができるだろう




しかし琴吹紬は 決して梓の目指していた「憧れの先輩」ではない



少しずつ 

少しずつ

目的は濁る


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:22:22.56 ID:1CSH00Bu0


話を聞いた紬は 面白そうだとあっさり了解して

スムーズに梓と入れ換わる

彼女は好奇心旺盛で 未知の物には目が無いのだ

温室育ちの世間知らずとも言えるが・・・



しかし部活中は いざ紬になってみると

地味な役割で大して面白いものではない

することと言えばお茶汲みとニコニコ笑っているくらいだ

律や唯はかなり好意的に接してくれるし どこか頼られてる感じはあっても 

何か距離を感じてしまう   

それくらい無難な立ち位置

しかし

帰宅してみると 

梓は心の底から思った

「入れ換わって良かった・・・」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:24:34.58 ID:1CSH00Bu0


超大豪邸はまるで別世界の様で

ちょん と置いてある小物でさえ、中野家の財産を凌駕する価値を持っている

料理は美味しいし

ベッドは雲のように柔らかい

ある意味

いや 

どんな意味でも澪異常に幸せだ

こんなに豪勢な人生なら 大人らしさもいらなくて

やはりこの世は金なのか などといかにも悪役のような台詞まで零れそうだった

彼女はしばらくこの生活を手放せない


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:26:51.48 ID:1CSH00Bu0


――――――――――――――

一週間後

梓は朝8時トイレに向かうと

既に紬が待っていた


「ムギ先輩、調子はどうですか?」

「うん・・ちょっと・・」

どう見ても楽しそうではない

まるで先週の澪のように 不満を抱え込んでいる表情だ

紬は 少し辛そうに口を開いた

「とりあえず 1週間経ったし、元に戻りましょ?」

「1週間・・・」

「そういう約束だったと思うけど・・」

「ぅ・・もう1週間!お願いします、もう1週間だけ!」

ここで手放したくない  あの生活はもっと堪能していたい

梓は必死に頼み込んで期間を延ばしてもらった


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:28:30.82 ID:1CSH00Bu0


自分と入れ換わった先輩にも 良い事が沢山あるはずなんだ

そう自分に言い聞かせ

彼女は罪悪感をかき消す




美味しいケーキが食べ放題だし

容姿だって悪くない

何より欲しいものが何でも買えてしまう

彼女は

遊んで遊んで遊んで


楽しんで楽しんで楽しんだ



練習だって真面目にやってるし

勉強の時もちゃんと交代してる

だから大丈夫 最低限義務は果たしているんだ


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:30:11.75 ID:1CSH00Bu0


そんなことを思い続け 気付けば


あっというまに1週間が経っていた


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:31:13.88 ID:1CSH00Bu0


「じゃあもうこれで・・・」

紬は子犬のような眼で見る

しかし

「も、もう1週間だけ・・すみません、もう1週間・・・!」

「・・・・・・・・」


澪の時 あっさり手放してしまい あっさりと終わった幸せ

今回はそう簡単に終わらせたくなかった

紬もきっと 澪のように入れ換わりが肌に合わない人間だったのだろう

それでも

今の梓は 紬でいようとした


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:32:37.47 ID:1CSH00Bu0


遊んで遊んで遊んで


楽しんで楽しんで楽しんで


食べて寝て食べて寝て


笑って寝て笑って寝て


中野梓は愉しんだ

琴吹紬の皮を被った 中野梓は愉しんだ


そしてまた あっというまに1週間が経つ


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:33:52.59 ID:1CSH00Bu0


「お願いします・・!」


懇願は何度も続いた


「あと1週間・・!」


土下座までするようになった


「・・・・・・・」


その度紬は 無言で頷き


「ありがとうございます!」


その度梓は 琴吹紬になる


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:35:06.08 ID:1CSH00Bu0


「お願いします・・!」


「あと1週間・・!」


「お願いします・・!」


「あと1週間・・!」


「お願いします・・!」


「あと1週間・・!」


「お願いします・・!」






そんな不安定で 無理を通してきた交換も

遂に限界が訪れた


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:37:26.23 ID:1CSH00Bu0


もう何度目かもわからない約束の1週間目 梓は登校中に紬に出会った

都合が良い トイレと言わず ここで頼みこもう

「あ、ムギ先輩  あと1週間・・」

「もう嫌!」

「・・・っ」

初めて

初めて紬のこんな顔を こんな声を聞いた

いや 今は中野梓か

「大人になりたい大人になりたいって、梓ちゃんはただ お金で遊びたいだけでしょ!?」

「そんな・・・」


人は真に図星と突かれると  何も言えなくなる


「だから子供なのよ・・・もう嫌よ、もう・・・」

「・・・・!」


紬は 梓のカメラを強引に掴み取った


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:39:37.11 ID:1CSH00Bu0


「ちょ、ちょっと・・・」

「・・・・・」

パシャリ

シャッターの音が聞こえた

梓を撮ったのだ


ここで紬が取るべき行動は 自分自身を撮ること

梓はそう信じて疑わなかったし

自分に戻るにはそれしかない

しかし

パシャリ

という二回目のシャッター音は 





道を横切る大型トラックのドライバーに向けられた


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:42:04.32 ID:1CSH00Bu0


「え・・・何してるんですか、ムギ先輩・・?」

「交換よ」

紬はさらりと答える


「それより・・・あなた、誰?」


トラックは既に大通りの信号を越え 見えなくなった

目の前に立っている紬はうっすらと笑みを浮かべている

ほんの一瞬考え

ほんの一瞬で答えが出る

単純な話


「待ってくださいよ   これじゃ私、今・・・」

「どこか遠くから来て どこか遠くへ行った トラックの運転手でしょ?」


中野梓は

自分を失ったのだ


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:43:32.73 ID:1CSH00Bu0


紬はカメラを地面に思い切り叩き付け

バラバラに打ち砕く



細かいパーツと共に 絶望が飛び散った



「ムギ先輩・・ちょっと・・洒落になりませんよ・・」

「ムギ先輩じゃなくて 中野梓です」

紬は笑顔で言った

屈託の無い 爽やかな笑み

「ムギ先輩は今 どこかでトラックを運転してるもの」

「私は・・私は・・・!?」

「さぁ・・・?」

紬は梓 もとい 梓だった人間に背を向け歩いていった


名も無き小柄な人間は

呆然と立ち尽くす


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:44:50.94 ID:1CSH00Bu0


自然と

財布を開いた

小銭しか入っていない

人間は つい昨日までと打って変わったその貧相な中身を 

ただぼぉっと見つめた



はらりと一枚の写真が落ちた


幸せそうな女子高生が笑顔で写っている



これは 

この人は



誰なんだろう



終わり


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 01:52:00.85 ID:UYVpgzhOP


うまく終わらせたな



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/12(水) 02:03:58.74 ID:ZcqTXrVM0


しかし梓の生活ってそんなに不満がでちゃうのか?
唯にゃんにぎゅうされるだけでも最高にエクスタシーなんだが





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