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QB「僕が嘘をつかなくても何も変わらなかったんじゃないか」

このエントリーをはてなブックマークに追加 コメント (2) | カテゴリ: まどかマギカSS | 更新日: 2011/03/24 13:30
[誰得SS]QB「僕が嘘をつかなくても何も変わらなかったんじゃないか」


1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:40:06.94 ID:sPCHu1Vi0


マミ「お願い……助け……!」

QB「さて、それじゃあ君を魔法少女にして助ける際の注意事項を説明するよ?
   まず魔法少女へとなった場合、魔女という世に絶望を振りまく存在と戦う使命を背負うことになる」

マミ「い、いいから……」

QB「そしてこの魔法少女へとなると時、魂と肉体は別々になり、
  身体はより戦闘向きにカスタマイズされてしまう。
  代表的な部分を述べるなら、精神が分離するのだから、痛みを感じ辛くなるといったところかな」

マミ「……あ……」

QB「この分離した魂はソウルジェムと呼ばれるものへと変換され、常に君と共にあるようになる。
   距離を置いてしまうと肉体を動かせなくなるから注意してね。
   それと注意といえば、魔法少女としての力を振るっていると、
   このソウルジェムが段々と濁っていってしまう。
   コレは魔女を倒すことによって落とす
   グリーフシードというアイテムのおかげで取り除くことが出来るけれど、
   もしソレを怠れば逆に君たち魔法少女が魔女へとなってしまうから注意してね。
   もちろん肉体と魂も分離してるから、
   肉体の維持のためにソウルジェムが濁っていってしまうことも忘れずに」

マミ「ぐぅ……! 早く……!」

QB「さて……それじゃあ次は、どうして僕がこんなことをするのかという説明に移されてもらうけれど――」

マミ「その話は後で聞くから! 早く助けてよ……っ!」

QB「えぇ~……? でも、後で怒ったりしないかい? ちゃんと話を聞いておかないで」

マミ「怒らないから! 早く!」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:41:16.60 ID:sPCHu1Vi0


QB「分かった……言質は取ったからね? それじゃ……契約成立だ」

マミ「良かった……」

QB「…………」

マミ「…………?」

QB「……本当に良いのかい?」

マミ「しつこいっ!」

~~~~~~

マミ「私の契約はこんな感じよ」

さやか「うわぁ……」

まどか「酷い話ですね……」

QB「ちゃんと事前確認をしておかないと。後で何かととやかく言われるのはイヤじゃないか。
   それなのに非難されるだなんて……訳が分からないよ」


3: 忍法帖【Lv=10,xxxPT】 :2011/03/23(水) 15:42:16.07 ID:sPCHu1Vi0


――――――

さやか「お願い、キュゥべぇ」

QB「良いのかい? 君のその願いによって、君は人間ではなくなってしまうんだよ?」

「構わない。あたしは、自分が人間じゃなくなってでも、恭介を助けたい。だから……お願い」

QB「……分かった。それだけ強い意思があるのなら良いだろう。
  常に戦いの中に身を置く覚悟が済んでいるのなら許可しよう。
  君は……魔法少女へとなる資格がある」

さやか「ぐっ! ううううううう……!」

パアアァァァァ…!

QB「君の願いは叶った。さあ……受け取るが良い。それが、君の魂の結晶――君自身の、運命だ」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:43:54.80 ID:sPCHu1Vi0


――――――

マミ「美樹さん……」

さやか「すいません……マミさん。
    でもあたしは……自分がこんな身体になってでも、恭介を助けたかったんです」

マミ「あなた……私の忠告に対する答えは出たの?」

さやか「あたしは……あたしはただ、恭介を助けたい。
    それに……マミさんと一緒に、この町の人たちを救いたい。ただ……それだけです……」

まどか「さやかちゃん……」

マミ「そっか……ま、なってしまったものは仕方が無いわね。これから魔法少女同士、よろしくね」

さやか「! ……はいっ!」

マミ「さてそれじゃあ……戦い方、教えてあげるわ。
   せっかく愛しの彼を救ったのに魔女に殺されたり、
   グリーフシードが集められず魔女になっちゃったら、話にならないものね」

さやか「ありがとうございます!」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:45:46.28 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「耐えられるはずがなかったんだ。
  好きな人に認められたいという本音を、誰かに感謝されたいという気持ちを、
  見返りを求めず他人のために力を振るって助け続けるだなんて偽りの決意を胸に宿すことで隠し、
  自分ですらも見えないところに置いておく……彼女は無茶をしすぎたんだ」

杏子「…………」

QB「色々な要因があっただろう。
  その身を犠牲にしてまで助けた人は、自分を見てくれず勝手に幸せになり……
  偽りの決意ですら揺さぶられる世間の醜さを見てしまっては……
  とてもじゃないが、絶望を感じずに生きていけるだなんて無理だろう。
  佐倉杏子……君のように、
  一度目の挫折で己の覚悟と折り合いをつけられたのなら、話は別だったんだろけど」

杏子「うるせぇ……」

QB「そうして他人の肉体の鮮度を保って、どうするつもりだい?
  自分の器でない存在の維持は、自分の肉体を維持するよりも消耗が激しいよ」

杏子「……折り合いをつけたとか言うけどよ
   ……あたしだって、なんでもかんでも折り合いつけれるほど、出来た人間じゃねぇんだよ」

QB「…………」

杏子「なあ……さやかを助ける手段はあるのか?」

QB「……前例はないね」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:47:24.47 ID:sPCHu1Vi0


QB「ただ、君たち魔法少女は、それら常識を遥かに凌駕する力を持っている。
  だから……もしかしたらいけるかもしれない……」

杏子「そっか……なら、そうして希望があるだけ十分だ」

QB「だが僕個人の意見としては、止めた方が良いと思う。きっと犬死にするだけだ。
  君が魔法少女になった願いを考えるに、魔女になった誰かを救えるほどの特殊能力があるとは思えない」

杏子「それでも……少しでも、希望があるのなら……」

QB「……あまり言いたくは無いけれど、
  まどかに魔法少女になってもらう際の願い事にしてもらうのはどうなんだい?
  魔法少女へと戻すぐらいなら、出来る可能性も広がるよ」

杏子「それは……ヤだね。さやかの親友のアイツなら、確かにそう言ったらやってくれそうだけどよ……
   そんなことしてさやかが蘇っても、きっとさやかが喜ばねぇ……」

QB「……マミも、自分の肉体を元に戻せるとしたらって話で、同じような理由で拒絶していたね。
  目の前に幸せがぶら下がっているのに縋りつかないなんて、僕には理解できないよ」

杏子「はんっ。他人の不幸で自分が幸せになる……それで喜べるやつも居るんだろうケドさ……
   あたしやさやか、その親友やマミは、その分類じゃないってだけさ」

QB「そうかい……分かったよ。僕が止めても行くって言うんなら、僕はもう……止められない。
  けれど……せめて、暁美ほむらや巴マミ、それと鹿目まどかに話はしておいた方が良いんじゃないかな」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:48:46.65 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「……鹿目まどか」

まどか「どうしたの? キュゥべぇ」

QB「僕は一体、どうすれば良かったんだい?」

まどか「…………」

QB「正直に話しても、美樹さやかは魔法少女になって魔女になるし、
  佐倉杏子はそのさやかを救うために命を張る。
  巴マミだって、魔女になったさやかを見て、覚悟して出来た心の柱が折れて錯乱し、
  佐倉杏子を殺して暁美ほむらを殺そうとする。
  そして……まどかがマミのソウルジェムを、撃ち砕く」

まどか「…………」

QB「最終的にはこうして、君と暁美ほむらの二人だけが残り、
  二人だけで“ワルプルギスの夜”を倒そうとしてしまう」

まどか「でもそれが、キュゥべぇの望みだったんでしょ?
    たくさんの希望を与え、絶望へと変換し、エネルギーを宇宙へと届ける。
    何か不服なの? 全て狙い通りじゃない」

QB「……そうだね……確かにその通りだ。僕は何を悩んでいたのだろう。
  結局、僕が嘘をついてもつかなくても、何も変わらなかった……それだけの話じゃないか」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:49:49.76 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB(そう……何を悩む必要があるんだ。これで良いんだ。これで。全て完璧じゃないか。
  この後まどかは力を使い果たし、
  濁りきったソウルジェムから最悪にして最厄の魔女が生まれて……それで、全てが終わる)

QB「…………」

QB(でも……僕は……あの五人みんなを助けたい、って……思ってしまっているんだ。
  ……どうしてだろうね? 感情の無い種族であるはずの僕が……どうして……)

QB「だけど……」

QB(もし……次にチャンスがあるのなら……僕は……――)










カチリ


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:51:11.64 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「魔法少女になるということは、
  魔女と戦う使命を背負わされるということさ。もちろん命の危険もある。
  だから僕たちはその代償として、君たちの願いをなんでも一つ叶えてあげることにしている」

さやか「な、なんでもってことは……金銀財宝やあんなことやこんなことも!?」

まどか「あんなことやこんなこと……?」

マミ「きっと鹿目さんは知らなくても良いことよ」

QB「もちろん。
  あんなことやこんなことが何を指すのか僕にも分からないけれど、
  僕に出来る範囲なら叶えるよう努力するさ」

さやか「ぐ、具体的には……?」

QB「そうだね……なんでもとは言ったけれど、魔女を全て殺してくれ、
  はさすがに僕の力が及ばない範囲になってしまうから無理だ。
  魔法少女・魔女等々に関しては、僕にアクセス権限はないからね。
  それと、死んだ人を蘇らせるのも不可能だ。そこに魂が無い限り、僕には何も出来ない」

まどか「へぇ~」

マミ「そこまで詳しくは知らなかったわね……」

QB「ただ、本当に願いは慎重に選んで欲しい。
  なんせマミが所持しているそのソウルジェムは……持ち主の魂そのものだからね」

まどか「……………………え?」
さやか「……………………え?」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:54:02.39 ID:sPCHu1Vi0


まどか「ど、どういうこと? キュゥべぇ」

QB「とても酷い話だ。正直僕は、君たちに魔法少女にはなって欲しくないとさえ思ってる。
  でも、だからこそ、話したいと想っている。
  話せば魔法少女になるのをイヤがるだろう……それほどまでに酷い話だ。
  そんな話だけど……聞くかい?」

まどか「……うん。教えて欲しい」

QB「……分かった。それじゃあ話そう。
  魔法少女と魔女、肉体と魂、それら全てとソウルジェムとの関係
  ……そして僕が、どうしてこんなことをするのかの、全てを」


~~~説明中~~~

~~~説明終了~~~


QB「分かったかい? 一気に説明してしまって、悪いとは思う。
  けれど僕も、嘘をつくのはいけないと思ったんだ」

さやか「つまり……なに? あたし達が契約したら、ゾンビになるってこと?」

QB「それに近しいことになるのかな。だから僕としては、魔法少女になって欲しくないんだ。
  それに万一なるとしても、願いは慎重に選んで欲しいと思う。
  自分が死ぬのと同類になってでも、
  世界を不幸に陥れてしまう可能性を孕んでしまう身体になってでも、
  叶えたいものかどうかをよく考えて欲しいって意味でね」

さやか「…………」

まどか「マミさんは……その……どうしてコレを聞いてまで、魔法少女に……?」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:56:08.89 ID:sPCHu1Vi0


マミ「私の場合、交通事故に巻き込まれてね。その時、助けてもらうために藁にも縋っただけよ。
   死よりも酷い環境に身を置くことになってでも……私は、この世界にいたかったの。
   だから私は、今この力を使って、沢山の人を助けようとしてる。
   後々沢山の絶望をばら撒く存在になっても、悔いの残らないように
   ……私のような人を、増やさないために……」

まどか「マミさん……」

マミ「……そんな悲しそうな顔をしないで、鹿目さん」ニコ

まどか「でも……」

マミ「私はもう、自分の中で踏ん切りがついてるの。だから大丈夫。
   それに……
   マンガやアニメのような魔法少女じゃなくても、ちゃんと人を救えてるんだもの。
   それだけで私は、満足してるのよ。
   それにあの時、キュゥべぇの説明も満足に受けず……
   受けられない状況だったとはいえ何も聞かずに契約した私が悪い、
   って自業自得な気持ちも多少はあるしね」

QB「なにもそこまで自分を責めることはないよ、マミ」

まどか「ねえキュゥべぇ。マミさん、元に戻してあげられないの?」

QB「……マミ自身、ソレを望むのかい?」

マミ「いいえ。そんなことしたら私、その人のことを一生恨むわ。
   本来生きているべき人が死んで、死んだ人が生き返るだなんて……おかしなことだもの」

まどか「でも……そんなの、マミさんが悲しすぎます」

マミ「だからといって、この辛さをあなた達のどちらにも押し付けたくないの、私は。
   先輩の意地として、ね」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 15:58:35.28 ID:sPCHu1Vi0


――――――

ほむら「インキュベーター」カチャ

QB「暁美ほむら……出会い頭に物騒だね。銃を突きつけてくるなんて」

ほむら「あなたは私の質問に答えるだけで良い」

QB「分かったよ。けれどその条件を呑む代わりに、今の僕を殺さないようにして欲しいんだ」

ほむら「代わりならいくらでもいるでしょ? それとも、勿体無いとでも言うつもり?」

QB「そうじゃないよ。ただ今の僕は、僕自身でも分かるぐらいイレギュラーな存在だからね。
  もし殺されて入れ替わった時、今の僕じゃなくなるのはイヤなんだよ」

ほむら「……イレギュラー?」

QB「そうさ。まどかと出会う直前、君に一度殺されただろう? あの後からさ」

ほむら「……あなたが全てを正直に話し、
    あまつさえ鹿目まどかや美樹さやかに魔法少女にならないで欲しいと言っているのは、
    まさかそれが原因だとでも言うつもり?」

QB「情報が早いね。それに的確な推理力だ。
  君が信じてくれるかどうかは分からないけれど、今の僕には、君達で言うところの感情がある」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:00:06.15 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「……信じられると思う?」

QB「思わないね。今までの僕の行動を考えれば当然だ。
  けれど、今まで僕は君と会ったことはないはずなんだけど……ま、その辺はどうでも良いや。
  とりあえず、これからの行動を見て判断して欲しいところだね」

ほむら「だから、殺さないで欲しいと?」

QB「ああ。今の僕になったキッカケが一応の死である以上、
  同じことをして今の感情を失うのはゴメンなんだ」

ほむら「……あなたにとって感情とは、邪魔なものじゃないの?」

QB「宇宙のためのエネルギーを作るためには邪魔なものだろうね。
  けれども僕は、どういう訳か、君たちのような魔法少女を作り出したくないと、今は思っている。
  だったら……その今だけの感情を大切にしてみたいんだ」

ほむら「……分かったわ」

QB「そうかい。それで、君は何を僕に訊ねようとしていたんだい?」

ほむら「もう結構よ。疑問は解決した」カチャ

QB「それは良かった」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:02:05.62 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「ただ私は……あなたのことを信頼した訳ではない」

QB「僕が君に何をしたのかは分からないけれど、その判断で正解だよ。
  前までの僕を知る今の僕自身ですら、そう判断するだろうからね」

ほむら「…………」

QB「ただ、暁美ほむら。これだけは覚えておいて欲しい。
  感情を持ったと言っても、僕はあくまでも魔法少女を作る存在だ。
  魔女を生み出しエネルギーを回収する生き物だ。
  だから……
  もし相手側が、強い意志を持って願い事を述べ、魔法少女になる覚悟を果たしていたなら……
  僕の意志に関係なく、魔法少女を生み出してしまう」

ほむら「……それを言い訳にして、まどかを魔法少女にするつもり?」

QB「違う、そうじゃない。
  そうなってしまう存在だから――僕を求める人のところに、本能で足が向いてしまう存在だから、
  そうなったら無理矢理にでも、魔法少女になるのを止めて欲しい。そうお願いしたいんだ。
  それがたとえ、感情を持った僕を、殺すことになっても」

ほむら「……分かったわ」

QB「ありがとう……暁美ほむら」

ほむら「感謝される筋合いは無いわ。私は……鹿目まどかを、魔法少女にしたくないだけだから」

QB「なら……僕と同じだ。これ以上魔法少女を増やしたくないと思っている……今の僕と」

ほむら「…………」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:03:17.61 ID:sPCHu1Vi0


――――――

さやか「病院で孵化したら危ないんでしょ!? だったらあたし、ココに残ってコイツを見張ってる!
    だからお願いまどか! マミさん、呼んできて……!」

まどか「でも……!」

QB「……分かったよ。なら僕も一緒に残ろう。
  そうすればマミとテレパシーを通じて、誘導することが出来るからね」

さやか「キュゥべぇ……」

まどか「……分かった! それじゃあ私、マミさん呼んでくる!」

さやか「うん! 頼んだよ、まどか!」


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:05:25.81 ID:sPCHu1Vi0


~~~~~~

QB「……怖いかい? さやか」

さやか「そりゃあ、まぁ……当然でしょ」

QB「だけど、本当に無謀なことをするね?」

さやか「だね。でも、キュゥべぇが残ってくれるって言ってくれた時は、安心した。
    だってイザとなったら、魔法少女になってこの場を切り抜けることも出来るんでしょ?」

QB「…………だけど、僕自身はあまり推奨しないな」

さやか「どうしてよ。宇宙のためのエネルギーを得られるチャンスでしょ?」

QB「だからといって、さやかに人間を辞めてもらう理由にはならないよ。
  確かにエネルギーは得られるけど……魔女になる宿命を背負わせたい訳じゃないんだ、今の僕は。
  特に、本人が満足のいく願い事を決めていないなら、尚更だ」

さやか「……大丈夫よ」

QB「なにがだい?」

さやか「イザとなったら、後悔しないための願い事……あたしの中に、もうあるから。
    ただ……もうちょっとだけ考えたいだけで、ね」

QB「…………なら、ちゃんと考えるべきだよ、さやか」

QB(マズいな……このままだと、さやかが魔法少女になってしまうかもしれない……
  マミ、早くきてくれ……!)


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:06:36.83 ID:sPCHu1Vi0


~~~~~~

ほむら「待ちなさい」

マミ「っ! ……またあなたなのね……」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「今日の獲物は私が狩る。もちろん、結界内の一人と一匹の命の保障もするわ」

マミ「ふ~ん……そんな言葉、信じられると思う?」

QB『待つんだ、マミ!』

マミ『どうしたのキュゥべぇ?』

QB『暁美ほむらにも同行してもらった方が良い。戦力になる子はいくらいても構わないだろ?』

マミ『……ダメね。私が彼女を信用できない以上、
   後ろから撃たれるかもしれないと思っている以上、私が全力を出して戦えないわ』

QB『でも――』

マミ『それにキュゥべぇ……あなたは私が負けると思ってるの?』

QB『…………』


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:07:53.05 ID:sPCHu1Vi0


QB『……分かったよ、マミ』

マミ『そう。ありがとう』

シュル

ほむら「っ!」

マミ「大人しくしておいてもらえるかしら? 大丈夫、終わったらすぐにほどいてあげるから。
   けれど、暴れたら身の安全は保障できないわよ」

ほむら「くっ……! 今はこんなことをしてる場合じゃ……!」

マミ「それじゃあ行きましょう、鹿目さん」

まどか「は、はい……」

~~~~~~

QB(何か胸騒ぎがする……頼むよマミ。絶対に……無事でいてくれ)


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:09:03.91 ID:sPCHu1Vi0


――――――

ほむら「ごめんなさい……」

QB「……どうして君が謝るんだい?」

ほむら「私が……もう少し、巴マミとの関係を良好にしておけば……今回のようなことは……」

QB「それを言い出したら、僕がもう少し必死になって説得しておくべきだったんだよ。
  グリーフシードの孵化も考えて、言い争っている時間が無いだなんて判断してしまった
  ……僕の間違いさ」

ほむら「…………」

QB「それよりも暁美ほむら。一つ、聞かせてくれるかい?」

ほむら「……なに?」

QB「君は……今回の魔女の倒し方を、事前に理解していたのかい?」

ほむら「……ええ」

QB「そうか……だから来てくれたんだね。自分でないと、倒すのは難しいと思って」

「ほむらそんな大それたことじゃないわ。私はただ、まどかが悲しむ姿を見たくなかっただけ」

QB「……マミが目の前で死んだんだ……まどかのダメージも相当のものだろう。
  ……彼女の泣き顔なんて、見たくないって言うのに……」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:10:55.77 ID:sPCHu1Vi0


QB「そういえば、君にはお礼をいう必要があるね。
  もし君が来てくれなかったら、まどかかさやかが魔法少女として契約してしまうところだったよ」

ほむら「そうさせないために、今の私がいる。それだけよ」

QB「利害関係が一致していて助かるよ。
  ……さて、それじゃあ僕はそろそろ行くね。この町を守る、変わりの魔法少女に連絡を取らないと」

ほむら「佐倉杏子?」

QB「ああ……そうだね。全ての魔法少女に声をかけるだろうけど、来るのは彼女になるかもしれない。
  この町にも思い入れがあるようだしね」

ほむら「なら忠告しておくわ。美樹さやかがあなたと契約したがるかもしれない。注意して」

QB「……どうして、そこまで分かるんだい?」

ほむら「言うはずが無いでしょ」

QB「そうだったね。でも……そうして未来を知っているところを見ると……もしかして君は……」

ほむら「思っていても口には出さないで。どうせ私はまだ、あなたを信頼していない。
    答え合わせなんてする義理も無いわ」

QB「……まあ良いさ。だが、注意はするけれど、たぶん無駄だと思う。
  僕の意識とは別に、この身体に組み込まれた本能とも呼べるべき中枢部分が、
  契約のために呼び出された場合は敏感に反応してしまうからね」


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:20:32.05 ID:sPCHu1Vi0


――――――

さやか「キュゥべぇ……お願い」

QB「……本当に良いのかい? 君だってまどかと同じで、マミの死を間近に見て恐怖したんだろ?」

さやか「うん。でも……あたしには、ああして命を賭けてまで叶えたい願いがあるんだ」

QB「将来的には、君が魔女へとなってしまうとしてもかい?」

さやか「当然」

QB「魂と肉体が分離してもかい?」

さやか「当たり前」

QB「宇宙のためのエネルギーとして変換されるだけだって、知っていてもかい?」

さやか「願いが叶うことに変わり無いんなら、なんだって受けてみせる」

QB(……ごめん、暁美ほむら。まどか。……やっぱり僕には、彼女との契約を止められそうになかったよ)

さやか「恭介の指を治すためだったら……あたし、魔法少女でも魔女にでも、なんにだってなってやる」

QB「……契約は、ここに成立した」

QB(して、しまった……)

パアアァァァァァ…


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:22:30.13 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB(僕は無力だ……。一人の少女を魔法少女にしないための理性ですら、働かせることが出来ない……。
  本能に身を任せて、ついつい動いてしまう。……憎らしいよ……自分の身体が……。
  ……邪魔だよ……この感情というものが……)

QB「こんなに辛くて悲しい思いを、人間達はしているのか……」

QB(だったら僕は……こんなもの、無いままの方が良かったかな……)

QB「どうせ、涙を流すための器官すらない身体なのにさ……」

QB(どうせ、決意ある言葉を聞けば、その少女を問答無用で魔法少女にしてしまうだけの身体なのにさ……)

――――――

QB「君の言った通り、佐倉杏子がこの町にやってきたよ」

ほむら「そう。……佐倉杏子も、あなたの企みを全て知っているの?」

QB「もちろん。全てを話してある。
  けれどあの時の僕に感情なんてものはなかったからね
  ……彼女の願いをみすみす、何の忠告もせずに叶えてしまった」

ほむら「…………」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:23:52.43 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「……しばらくしたら、ワルプルギスの夜がやってくるのを、あなたは知っているの?」

QB「ああ……気配が近付いてきているのは分かっている。
  けれど、まだこの町に来ることは確定じゃないだろ? まだまだ逸れる可能性が十分にある距離だ」

ほむら「いいえ。ワルプルギスの夜は、確実にこの町にやってくるわ」

QB「何故…………いや、今更だね、そんなことを訊ねるのは」

ほむら「分かっているなら結構。
    それで、知っているなら他の地区を担当している魔法少女も呼んでもらえないのかしら?」

QB「君が僕に頼み事なんて珍しい。けれど……それはどうも無理のようだ」

ほむら「……何故?」

QB「絶好の狩場でもあるこの町が空いたと言っても、やってきたのは佐倉杏子一人。
  それなのに、なんの得にもならないワルプルギスの夜がやってくるから倒して、
  なんてお願いしたところで、誰も来てなんてくれないよ」

ほむら「…………」

QB「せいぜい出来ることといえば、君たち魔法少女を逃がすか、
  君たちに協力してもらってこの町から人を居なくしてもらうかの二択になるね」

ほむら「無理だと知って言ってるでしょ」

QB「まぁね。
  一少女の言葉なんて、誰も耳を貸さないだろうし、君たち魔法少女も逃げるような人たちじゃない。
  でも……そうか……それだと杏子に、悪いことをしたね……」

ほむら「…………」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:29:54.09 ID:sPCHu1Vi0


――――――

杏子「ふぅ~ん……アレが新しい魔法少女ねぇ……なんかチョロそうだわ」

QB「君を呼んだのに、彼女と契約してしまっていたのは謝罪する。
  元々は契約するつもりは無かった……なんてのは、言い訳にもならないよね」

杏子「別に良いよ。あんなのさっさと倒して、あたしがこの土地の管理者になれば済む話じゃん」

QB「だがそれだと、彼女が魔女になってしまう」

杏子「そしたらまた倒せば良いだけっしょ? 何をそんなに深く考えてんだか」

QB「僕は……出来れば、魔法少女同士での争いが起きて欲しくないだけだよ」

杏子「甘っちょろいこと言うねぇ……
   だいたい、魔女を先走って狩ってないと死んじゃうようにしたのはアンタじゃん?
   勝手言い過ぎだっての」

QB「…………」

杏子「ま、アイツの聞き分けさえ良かったら、殺すのは勘弁しておいてやるって」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:33:40.89 ID:sPCHu1Vi0


杏子「言って聞かせて分からねぇ殴っても分からねぇバカとなっちゃあ……あとは殺すしかないよねぇ!」

さやか「ぐっ……!」

キン! ガキン! キンキン!

まどか「どうしよう……止めてよ、キュゥべぇ!」

QB「こうなったら僕でも止められない……魔法少女同士の戦いに割って入ることなんて、不可能に近いよ」

まどか「…………だったら……私が魔法少女になったら……止められる……?」

QB「それは……確かにそうだ。けれどそんな願いで、君まで肉体と魂を分離する必要はないはずだ」

まどか「そんな願い、じゃないよ。
    大切な親友が殺されそうになってるのに、指を咥えて見ているなんて出来ないよ!」

QB「だが君は、暁美ほむらとも約束していたはずだ。魔法少女にはならないと」

まどか「この状況を説明したら、ほむらちゃんなら、きっと分かってくれる……!」

QB「けれど……けれどほら、君はまだ願い事が――」

まどか「願いならある……さやかちゃんを助けるっていう、願いが」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:34:33.61 ID:sPCHu1Vi0


杏子「これで……終わりだよっ!!!」

まどか「キュゥべぇ……私、あなたと契約――」

QB(ダメだ……まどかっ!)

ほむら「それには及ばないわ」

まどか「えっ?」

キィン…

ヅガンッ!



杏子「……なっ!?」

さやか「えっ……?」

杏子「あたしが……外した……!?」

ほむら「…………」

杏子「いや……違うな。テメェ……一体何しやがった!」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:38:31.56 ID:sPCHu1Vi0


フッ

杏子「っ!?」

杏子(いきなり……後ろに……!?)

杏子「……はんっ! 妙な技を使いやがるな」

さやか「く……また……アンタかよ……邪魔すんなっ!」

フッ

さやか「っ!?」

ガッ!

さやか「あ……!」

まどか「さやかちゃん!」

QB「大丈夫。気絶しているだけのようだ」

QB(暁美ほむら……助かったよ)

杏子「てめぇ……一体誰の味方だ……?」

ほむら「私は、冷静な人の味方で、無駄な争いをするバカの敵。
    あなたは一体どっちなのかしらね……佐倉杏子」

杏子「っ!?」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:40:10.24 ID:sPCHu1Vi0


杏子「……どこかで会ったことがあるか?」

ほむら「さあね」

杏子「…………」

ほむら「…………」

杏子「……はぁ……手札がまるで見えないとあっちゃねぇ……今日のところは引き下がるよ」

ほむら「賢明ね」

杏子「はんっ。言ってろ」

ザッ

ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃん……ありがとう。さやかちゃんを助けてくれ――」

ほむら「鹿目まどか。巴マミが死んだ時、あなたは言ったわよね?
    もう、魔法少女にならないと、約束すると」

まどか「っ!」

ほむら「それなのに……どうしてあなたは……!」

まどか「でも……あの時はああでもしないと、さやかちゃんが殺されちゃうと思って……」

ほむら「それでも! ダメなものはダメでしょっ!」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:41:21.02 ID:sPCHu1Vi0


まどか「…………」

ほむら「…………」

まどか「……ねえ、ほむらちゃん」

ほむら「……なに?」

まどか「どうして私は、魔法少女になったらいけないの?」

ほむら「それは……! ……あなたを、苦しめたくないから……」

まどか「それだけじゃないよね。他にも、理由があるんでしょ?」

ほむら「…………」

QB「それについては、僕から話してあげるよ。まどか」

まどか「キュゥべぇ……?」

QB(まどかを魔法少女にせずにすんだお礼だ
  ……君の本当の理由から目を逸らすんだから、これで貸し借りゼロだよ)

QB「ああ。今まで黙っていたけれど、君は魔法少女として、とてつもない資質を秘めている。
  おそらくは今契約したばかりでも、さっきの魔法少女――佐倉杏子よりも強くなれる。
  もちろんさやかも暁美ほむらも、マミでさえも凌駕することになるだろう」

まどか「えっ……? でも……それじゃあほむらちゃんは……私の能力が強すぎるのを、警戒して……?」

QB「違うよ、まどか。事はそんなに単純じゃない」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:42:06.74 ID:sPCHu1Vi0


QB「最強の魔法少女になるということは、同時に、最悪にして最厄の魔女になるということでもある。
  暁美ほむらは……ソレを阻止したいんだろうさ」

――――――

QB「今日は助かったよ。ありがとう」

ほむら「いいえ。私も、あなたの嘘に救われたわ」

QB「あながち嘘でも無い事実だけれどね」

ほむら「けれど、私が抱いている本当の理由から、まどかの目を逸らしてくれた」

QB「あまり僕にお礼を言うものじゃないよ?」

ほむら「大丈夫よ。あなたを信用することにはならないから」

QB「それは良かった」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:43:10.78 ID:sPCHu1Vi0


QB「それで、次はどうするんだい?」

ほむら「ワルプルギスの夜に対抗するために……佐倉杏子と共闘関係を結ぶ」

QB「美樹さやかは良いのかい?」

ほむら「彼女は戦力にもならないわ」

QB「手厳しいね」

ほむら「けれど、真実よ」

QB「なら……僕に手伝えることはあるのかい?」

ほむら「あなたを信用しないと言ったでしょ? 協力なんて申し込まないわ」

QB「そうだったね……」

ほむら「でも……美樹さやかが魔女にならなければ、佐倉杏子との共闘関係も結びやすくなる」

QB「そうか……だったら僕は、勝手に、美樹さやかを魔女にしないように頑張るとするよ」

ほむら「ええ」

QB「あとは……鹿目まどかも警戒しておこうかな。
  今回の話で自分の危うさを理解してくれたから、すぐに魔法少女にはならないだろうけど……一応ね」

ほむら「…………」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:50:39.30 ID:sPCHu1Vi0


――――――

杏子「せっかく来たのに会いもしないで帰るのかい? 今日一日追いかけ回していたくせに?」

さやか「っ! ……なんのよう?」

杏子「知ってるよ。この家の坊やなんだろ? あんたが契約した理由ってのは」

さやか「…………」

杏子「ったく、自分が死ぬのと同じような状況になるための一度きりの願い事をくっだらねぇことに使いやがって。
   そういうのは自分のために使うものだってことをマミは教えてくれなかったのかい?」

さやか「…………」

杏子「それに、惚れた男をモノにしたいんなら、もっと冴えた手があるじゃん?
   折角手に入れた魔法でさぁ……」

さやか「……?」

杏子「今すぐ家に乗り込んで、坊やの手足を潰してやりゃあ良いんだよ。
   そしたらもう二度と、アンタ無しでは生きられない身体になるよ」

さやか「っ!」

杏子「なんなら魔法少女の先輩として、あたしが代わりにやってあげても良いんだよ?
   同業者のよしみでさ、タダでしてやるよ」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:51:32.54 ID:sPCHu1Vi0


さやか「……るさない……!」

杏子「あん?」

さやか「アンタだけは……絶対に許さないっ!」

杏子「ふ~ん……良い目つきじゃん。……ココじゃ目立つ……場所、移そうか」

QB(マズイ……このままじゃまたさやかが……!)

QB「そうだ……!」

QB(まどかに説得してもらえれば……もしかしたら戦いが止まるかも……!)

QB「まどか……!」

QB『まどかっ!』

まどか「っ!」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:52:43.23 ID:sPCHu1Vi0


まどか「さやかちゃん!」

さやか「っ!」

まどか「ダメだよ! こんなの、絶対おかしいよっ!」

さやか「邪魔しないでまどか。あんたには関係ない話なんだから」

まどか「でも……!」

さやか「呼んだのはキュゥべぇ? 全く……いらないことを……」

QB「何を言ってるんだ。昨日君は、手持ちのグリーフシードを全て使ったじゃないか。
  そんな状態で佐倉杏子と戦ったら、最悪魔女になってしまう」

まどか「だから私に止めてって、キュゥべぇが……!」

杏子「はぁ……全く……ウザい奴にはウザい仲間がいるもんだねぇ……」

ほむら「なら、あなたの仲間はどうなのかしらね?」

杏子「げ……」

ほむら「話が違うわ。美樹さやかには手出しするなと言ったはずよ」

QB(暁美ほむら……! そっちでもさやかに対して手を打っていてくれたのか……!)

杏子「あたしじゃなくて、アイツが吹っかけてきた喧嘩だぜー?」

ほむら「同じことよ」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:53:46.03 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「私が相手をする。あなたは下がっていて」

杏子「……ふん! だったら、コイツを食い終わるまでは待ってやるよ」

ほむら「十分よ」

さやか「ぐっ……バカにしてぇ……!」

まどか「さやかちゃん! ダメッ!

ガッ!

さやか「あ……! ちょ、まどか! ソウルジェム返してよ!

まどか「ダメだよさやかちゃん! ここで変身したら、もう取り返しのつかない争いに……!」

さやか「だからって、このままやられろって言うの!?」

まどか「でも――」

ツル

さやか「あっ!」

ヒュー…


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:56:03.68 ID:sPCHu1Vi0


QB「ダメだ!」

ダッ!

ほむら「くっ!」

ヒュッ

さやか「ちょっ……まどか! ア、アレは……あたしのたまし――……」

グタッ

まどか「さ、さやかちゃん……!? さやかちゃんっ!」

杏子「おいおい……マジかよ……これって……シャレになってねぇじゃねぇか……!」


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:57:31.63 ID:sPCHu1Vi0


ドザッ!!!

QB「ぐあっ!」

QB(痛い……! 結構な高さがあったからね……
  車の荷台とは言え、こんな場所、そうそう飛び降りるもんじゃないね。
  もう二度とごめんだよ。全く……)

QB「……っと、あったあった」

QB(ごめんよ……さやか……すぐ身体の元に返してあげるからね……)

QB「さて……」

ゴオオォォォ…

QB(うわぁ……怖い。動く車の上から飛び降りるのって、結構勇気がいるね……。
  さっきは咄嗟だからこそ飛べたけど……冷静になると……)

QB「……でも……」

QB(早くさやかの魂を肉体の傍に戻してやりたいし……腹を括るしかないか……。
  ……二度とごめんだって言った途端に同じようなことをするだなんて……全く……)

QB「どうかしてるよね」

ダッ


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 16:58:56.96 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「! あれは……!」

QB「…………」

ほむら「インキュベーター!?」

QB「ああ……暁美ほむらか……」

ほむら「あなた……」

QB「美樹さやかのソウルジェムならこの通り無事さ。
  全く……あの三人にも説明していたのに、どうして咄嗟に行動できたのは君だけなのかなぁ……」

ほむら「怪我は……?」

QB「大丈夫だよ。死んでもいない。まだ、前の僕のままだ」

ほむら「そう……」

QB「それにしても君……足が速いね」

ほむら「……今は、そんな話をしている場合じゃないでしょ?」

QB「確かにその通りだ。さあ……早くさやかを、元の身体に返してあげよう」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:00:59.77 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「美樹さやかの精神が不安定だ」

杏子「けっ……ソレがなんだってんだよ」

QB「きちんと説明していたのに、いざ自分があんなことになって動揺しているのだろう」

杏子「……で? それをなんであたしに言うわけ?
   事の重大さを受け止めてないのに契約した、アイツの自業自得じゃん」

QB「……君に頼みたいんだ。美樹さやかを」

杏子「はぁ!? アンタ頭おかしいんじゃない?
   つい昨日まで敵同士だったんだぞ? アイツとあたしは」

QB「だが、君の願いと美樹さやかの願いは近い。
  魔法少女になったきっかけが似通っているし、
  さやかの状況が最悪になった場合は、今の君ととても酷似している。
  だから……君に頼みたいんだ。
  さやかと違って割り切れている君に、まだ割り切れていない、美樹さやかを」

杏子「ふ~ん……」

QB「何も君が魔法少女になった全てを彼女に話せとは言わない。
  だが、君なら分かるだろ? 今のさやかの動揺を」


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:02:23.76 ID:sPCHu1Vi0


杏子「……一つ聞かせろ」

QB「なんだい?」

杏子「なんで、そんなにアイツの肩入れをする?」

QB「さやかだけじゃない。君も同じような状況になったら、僕は出来る限りの力を尽くすよ」

杏子「…………」

QB「…………」

杏子「……ちっ……しゃあねぇな。行ってやるよ」

QB「ありがとう、杏子」

杏子「ただし、貸し一だからな」

QB「おやすいごようさ」

杏子(って言っても、元々行くつもりだったんだけどな)


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:04:27.24 ID:sPCHu1Vi0


――――――

ほむら「どうして、佐倉杏子に美樹さやかを頼んだの?」

QB「さやかは誰かに認められたがってるようだからね。
  その点杏子なら、さやかの気持ちが分かるかと思ってね」

ほむら「違うわ。美樹さやかは誰かに認められたがっているんじゃない。
    彼女が救った少年に認められたがっているだけよ」

QB「…………」

ほむら「安直な言い方をすれば、見返りを求めているということ。
    自分が頑張った証を欲している。
    そのクセ、その真実を認めず、自分は見返りを求めず他人のために頑張っていると言い張っている。
    自分勝手で、悲しい道化よ」

QB「…………そうだったのか……でも、それでも杏子の存在は、さやかの中で大きくなるだろう。
  今はソレで十分さ」

ほむら「時間稼ぎにしかならない誤魔化しね。実際に体験したあの恐怖から、魔女になるのも時間の問題」

QB「その時間を引き延ばせる。それだけで十分だ。落ち着くための時間さえあれば……。……けれど……」

ほむら「……どうしたの?」

QB「もし……彼女が見返りを求めているその少年が、彼女を見なかったその時は……
  この時間稼ぎは、全くの無意味になるだろうね」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:05:59.82 ID:sPCHu1Vi0


――――――

さやか「痛みなんて……簡単に失くせるんだ……! あっはははははははははははははははははは……!!」

まどか「やめて……やめてよ、さやかちゃん……」

QB「……僕はね、暁美ほむら。
  魔法少女の力の源は……才能とも呼ぶべき根源は、いかに他人に対して献身的になれるのか、
  なんじゃないかと思うことがあるんだ」

ほむら「…………」

QB「見返りを求めない親切を、心の底から行えるもの……
  自分のためと言い張りながらも、他人を救うことを本能的に考えているもの……
  そういう人こそ、強い力を秘めて魔法少女になれるんじゃないかってね」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:08:37.80 ID:sPCHu1Vi0


QB「マミは自分のような人を新たに生み出したくない一心だった。
  それに魔法少女という存在に人一倍憧れていた。誰かを助けることに快感を覚えていた。
  感謝されること、言葉を掛けられること、
  ではなく……誰かを自分が救ったという真実だけが、彼女を支えていたように思う。
  だからこそ孤独を抱き……けれども強い力を秘めていた」

ほむら「…………」

QB「杏子だってそうだ。利己的に考えているように見えて、その実、人一倍他人を気遣える。
  今ああして、なんだかんだ言ってさやかを助けるために戦いに割り込めるぐらいにね。
  素っ気ない中に、本人も気付いていない見返りを求めない優しさが、彼女の中にある」

ほむら「…………」

QB「君だってそうだ。まどかのためだけに頑張っている。
  他の何もかもを犠牲にして……けれども、一番己を犠牲にして。
  自分の救いがまどかの救いだと、そう信じて。
  ……もちろん、まどかだってそうだろう。
  彼女こそ一番、他人のためだけに行動している少女と言っても過言じゃない。
  自分のことなんて毎回二の次だ」

ほむら「……さっきから何が言いたいの?」

QB「……だからこそ、美樹さやかはあんな無茶な戦い方をしなければならないほど、
  弱く才能の枯れた魔法少女になってしまったのかもしれない、と思ってね。
  ……言葉だけで、見返りを求めていないと言い張るだけの、上辺だけの彼女だから……」

アアアアアアァァァァァァァァァァ…!!

さやか「ははっ……やり方さえ分かればこっちのもんだね。これなら……負ける気がしないよ」


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:09:59.12 ID:sPCHu1Vi0


――――――

ほむら「ワルプルギスの夜の出現範囲はこの辺よ」

杏子「なんでそんなのが分かるのさ」

ほむら「統計よ」

杏子「統計ぇ? この町にワルプルギスの夜が来たなんて話、聞いたこともないけどねぇ……」

ほむら「…………」

杏子「……はぁ……互いに信用し合える立場じゃないのは分かってるけどさぁ……
   もう少し手の内を見せてくれても良いんじゃない?」

QB「会議は順調かい? 二人共」

ジャキン

杏子「てめぇどっから湧いてきやがった……!」

QB「ちょっ、やめてよ、そんな物騒なものを向けないで
  ……僕は二人に報告したいことがあってわざわざ来たんだから」

杏子「報告だぁ?」

QB「……美樹さやかの消耗が予想通り激しい。このままだと彼女が……魔女になってしまう」

ほむら「っ!」
杏子 「っ!」


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:11:32.87 ID:sPCHu1Vi0


杏子「な……なんだよそれ! なんとかできねぇのか!?」

QB「グリーフシードを使って穢れを取るしかない。けれど、僕がそう言っても彼女は耳を貸しそうも無い。
  それに彼女は、どうもまどかと喧嘩したばかりのようだから……
  今僕が接触しても神経を逆撫でしてしまうだけかもしれない」

ほむら「……だから、私たちに頼みに来たと?」

QB「そういうことだ。
  頼んでばかりで申し訳ないし……杏子に至っては貸しが一つあるのに、
  またお願い事をするような形になってしまって悪いんだけど……」

杏子「……美樹さやかをどうにかして欲しい、ってか?」

QB「……ああ」

杏子「…………」

QB「…………」

杏子「……ま、ワルプルギスの夜が近付いている今、魔女になられても迷惑になるだけだからね
   ……なんとかしてやるよ」

QB「本当かい!? ……ありがとう……感謝するよ、杏子」

杏子「けっ……なぁんか、あたしが契約した頃と違いすぎて調子が狂うな……全く」


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:13:28.56 ID:sPCHu1Vi0


杏子「美樹さやかを助ければ、そのままワルプルギスの夜の戦力にもなる。アンタも異存はないな?」

ほむら「ええ。私も、極力美樹さやかを助けるよう、尽力するわ」

QB「二人共……本当にありがとう」

杏子「……なあ、暁美ほむら」

ほむら「なに?」

杏子「コイツ、本当にどうしちまったんだ?」

ほむら「分からないわ」

杏子「分からないって……」

ほむら「ただ、ソイツ自身も自らがイレギュラーだとは認識しているそうよ。
    だからこそ私も、ソイツの話を聞きつつも、全く信頼はしていない。
    いつ、前の存在に戻るか分からないからね」

杏子「……じつはもう戻っていたりして」

ほむら「戻っているのなら、その感情なんてものはいらないと判断して、
    早々に昔のように戻っているでしょう。
    そうでなかったとしても、変わっているのならもう少し性質の悪い動きをするはずよ。
    私たちを騙して、まどかと契約するようなね」

杏子「それがないから、今のところは生かしてあるし話も聞いてやる、と」

ほむら「そういうことよ。利用できるものは利用しないと」

QB「その認識で正しいよ。
  僕も、今の僕が死ななくても、また感情が無くなるかもしれないと思っているからね」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:14:10.79 ID:sPCHu1Vi0


――――――

まどか「さやかちゃん……どこ……?」

QB「…………」

まどか「……キュゥべぇ……?」

QB「……君は……僕を恨んでいるかい? さやかを魔法少女にしたのは、この僕だよ」

まどか「……あなたを恨んだからといって、何かが変わるの?」

QB「…………」

まどか「それに、魔法少女になるって決めたのは、さやかちゃんだもん。
    その願いを叶えてくれたあなたを恨むことなんて……私には出来ない」

QB「そっか……いっそ恨んでくれた方が、君も楽になるだろうに」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:15:34.81 ID:sPCHu1Vi0


まどか「ねぇ、キュゥべぇ。いつか私に言ったよね?
     私には、魔法少女として、とてつもない素質があるって」

QB「……ああ」

まどか「だったらね……私が魔法少女になったら、さやかちゃんは元に戻るの?」

QB「それは……」

まどか「私が魔法少女になるお願いに、さやかちゃんを元に戻すようお願いしたら――」

QB「それは……無理だ」

まどか「えっ……?」

QB「既にさやかは、僕にはどうにも出来ない領域に足を踏み入れている。
  ソウルジェムが濁らず、絶望していなければまだ分からなかったけど……今となってはもう……」

まどか「……それじゃあ、私が魔法少女になって、私の魔法でさやかちゃんを救える……?」

QB「それは……!」

まどか「……その反応は、出来るかもしれないんだね」

QB(なんで……なんで! こんな時に嘘が吐けないんだ……! 僕の身体は……っ!)


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:16:56.17 ID:sPCHu1Vi0


QB「だが……僕はオススメしない。この前も言ったけど、君を魔法少女にしたら――」

まどか「とてつもない魔女になるんだよね……? でもそれって、可能性の話だよね?
    私がしっかりしていたら、絶望せずにソウルジェムを濁らせなかったら、
    ちゃんと魔法を使った後に浄化していけば、大丈夫なことなんだよね?」

QB「…………」

まどか「だったら……私の願いは決まってる」

QB(ダメだ……止めてくれ! まどかっ!)

まどか「さやかちゃんを助けられる力を持つ魔法少女に、私は――」





ダァン…ッ!


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 17:57:44.15 ID:pVu6B6AX0


QBさん・・


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:08:17.09 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「…………」

ほむら「…………」

QB「……どうして、僕を助けたんだい?」

ほむら「…………」

QB「あの時……空に向けて銃を撃たず、僕に向けて撃っていれば良かったのに」

ほむら「…………」

QB「そうすれば君は、泣きながら自分の正体が悟られるようなことを、まどかに言わずに済んだのに。
  ……あの反応……きっとまどかも、何か気付いてしまっただろう」

ほむら「…………らょ」

QB「え?」

ほむら「借りが……あったからよ」

QB「借り……?」

ほむら「そう。……美樹さやかのソウルジェムを救うために、あなたは歩道橋から飛び降りた……
    その大きな借りが、あったからよ」

QB「…………」


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:09:07.99 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「でも……その借りはもう無くなった。これで貸し借りゼロ。次は……容赦しないわ」

QB「……ありがとう、暁美ほむら」

ほむら「お礼を言うのはおかしいことよ。
    死にたくなければ、また私に貸しを作るか……まどかを魔法少女にするようなことを――」

ゴオオオオオオォォォォォォォォォ……!!!

ほむら「っ!」
QB  「っ!」

ほむら「アレは……!」

QB「……なんということだ……さやかが、魔女になってしまった」

ほむら「くっ!」

タッタッタッ…

ヒュッ


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:10:29.11 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「そうして他人の肉体の鮮度を保って、どうするつもりだい?
  自分の魂でない存在の維持は、自分の肉体を維持するよりも消耗が激しいよ」

杏子「……折り合いをつけたとか言うけどよ
   ……あたしだって、なんでもかんでも折り合いつけれるほど、出来た人間じゃねぇんだよ」

QB「…………」

杏子「なあ……さやかを助ける手段はあるのか?」

QB「……前例はないね。ただ、君たち魔法少女は、それら常識を遥かに凌駕する力を持っている。
  だから……もしかしたらいけるかもしれない……」

杏子「そっか……なら、そうして希望があるだけ十分だ」

QB「だが僕個人の意見としては、止めた方が良いと思う。きっと犬死にするだけだ。
  君が魔法少女になった願いを考えるに、魔女になった誰かを救えるほどの特殊能力があるとは思えない」

杏子「それでも……少しでも、希望があるのなら……」

QB「それと……コレは僕の気持ちだけれど……君には、死んで欲しくない。だから、行かないで欲しい」

杏子「はっ! 随分気持ち悪いことを言うね……ま、イレギュラーらしいから仕方ねぇんだろうけどさ」


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:11:52.38 ID:sPCHu1Vi0


杏子「だが、悪いね。アイツを託したのもアンタ自身だ。なら私は、託されたから、貫き通させてもらうさ」

QB「そんなもの……もう無効で良いよ」

杏子「今更だろ? それに、気付いてるんじゃねぇの?
   あたしがあたしのために、さやかを助けようとしてるって事を。
   アンタの言葉を言い訳にして、飾り立てして掲げで、ソレっぽくしてるだけだって事もさ」

QB「…………」

杏子「だったら止めるなよ。いや、止めないで欲しい」

QB「でも――」

杏子「二つの貸し」

QB「?」

杏子「アンタに貸してたろ? 二つ。その一つを今使う。
   ……あたしがこれからすることの、邪魔をするな」

QB「そんな……!」

杏子「と言っても、みすみす犬死にするつもりもねぇよ。貸しがまだ一つ残ってるだろ?
   アンタに使える貸しなんて貴重すぎる。帰ってきたら使ってやるから、覚えとけよ」

QB「……無茶だよ……杏子」

杏子「無茶なのは知ってるさ。
   けどな、あたしは本当に助けられないのかどうか、それを確かめるまで、諦めたくないんだよ」


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:12:48.47 ID:sPCHu1Vi0


~~~~~~

QB「君は……さやかをどうするつもりだい?」

ほむら「……倒すわ。もう、ああなってしまった美樹さやかを、救う手立てはない」

QB「そっか……」

ほむら「次の夜にでも、彼女の――
     いいえ、魔女の捜索に入る。佐倉杏子よりも早く、見つけ出さなければ……」

QB「……佐倉杏子が、死んでしまう……」

ほむら「ええ。彼女は……美樹さやかを助けることに、こだわりすぎている。もう、救えないのに……」

QB「…………」

~~~~~~

QB(こだわりすぎている……か……確かにその通りだったよ、暁美ほむら。
  ……さやかのことを杏子に任せようとした、僕のミスなんだろうか……?)

QB「…………っ!」

QB(アレは……!)


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:15:28.78 ID:sPCHu1Vi0


QB『マズイよ! 暁美ほむら!』

ほむら『っ!?』

QB『さっき偶然見かけた! 杏子とまどかが一緒に行動している!
  おそらくは……さやかを探してるんだと思う……!』

ほむら「っ!」

ガタッ

クラスメイト「ん? 暁美さん、そろそろホームルーム始まるけど……」

ほむら「早退するわ」

クラスメイト「えっ? ちょっ――」

タッタッタッ…

QB『今のさやかにも、まどかの声なら届くかもしれない。きっと杏子はそう考えたんだろう。
  ……着眼点は悪くなかったんだろうけど……』

ほむら『美樹さやかに届く声は、あの少年――上條恭介のものだけでしょうね。
    尤も、魔女になった今、それ自体も怪しいけれど』

QB『急いでくれ暁美ほむら……場所なら随時テレパシーで伝えるから……。
  ……僕が迂闊に近付いたら、まどかが強く願った瞬間、彼女を魔法少女にしてしまうかもしれないからね』

ほむら『分かっているわ。引き続き、このまま私を誘導してちょうだい』


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:20:24.70 ID:sPCHu1Vi0


――――――

杏子「今更だけど、本当に良いのかい?」

まどか「うん。それに……なんだかもう、慣れてきちゃったし」

杏子「……変わったやつだな、お前」フッ

ほむら「待って!」

杏子「っ!」

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「はぁ……はぁ……はぁ……! 私も……一緒に行くわ……」

杏子「……何言ってんだ、お前?」

まどか「え……?」

杏子「お前……本当に美樹さやかを助ける気、あるのか?」

ほむら「……もちろんよ」

杏子「信用できねぇよ。一度さやかを殺そうとしてたくせに」

まどか「っ!? 本当なの……? ほむらちゃん……」

ほむら「…………」


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:21:55.48 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「なら……ついでいくだけで良いわ。戦闘には参加しない。
    あくまでもまどかを守るだけ。それでも……良いから」

まどか「ほむらちゃん……」

杏子「……けっ、分かったよ。ま、守り手が一人いるだけで、まどかも安全になるしな。
   あたしだって自分の回避に専念できる。それで手を打とうじゃないか」

ほむら「ありがとう……佐倉杏子」

杏子「ふんっ! 良いから、もう行くぞ。心の準備は出来てんだろうな?」

まどか「大丈夫だよ」

ほむら「まかせて」

杏子「それじゃ……行くぞ」

ズバッ!


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:22:57.85 ID:sPCHu1Vi0


――――――

カラン…カラン

ほむら「杏子!?」

杏子「へっ……ざまぁねぇな。全くさ……」

ほむら「ダメ……! これ以上は……! 私がアイツを倒すから……っ!」

杏子「させねぇよ」

グッ

ババババババ

ほむら(結界!?)

杏子「こっから先は来させねぇ……アンタはその子を連れて逃げな。巻き込んじまったあたしの責任だ」

ほむら「そんな……! それなら、あなたが連れて帰れば良いじゃない!」

杏子「あたしは……さやかに付き添ってやらねぇといけないからさ……頼むよ」

ほむら「……っ!」


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:23:55.13 ID:sPCHu1Vi0


ほむら「どうして……どうして!」

杏子「どうして、か……アイツの気持ちが分かっちまうから、かな……」

ほむら「でも……そしたら私との約束は!? ワルプルギスの夜を一緒に倒すって約束は!?」

杏子「守ってやれそうもねぇ……ごめんな」

ほむら「……っ!」

杏子「それにさ……あたしみたいな足手纏いを連れて戦う趣味は無いんだろ?」

ほむら「あなたが……足手纏いなはず……!」

杏子「いいや。……あたしのソウルジェム、もう濁り始めてるしさ……」

ほむら「だったら! 私のグリーフシードを渡すから!」

杏子「…………」フルフル

ほむら「どうして!?」

杏子「そんなんじゃないんだよ。そんなんじゃ……。
   ……だってさ……ここでさやかを倒しても、あたしは普通に、魔法少女として戦える気がしないんだ」


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 18:43:56.62 ID:uMf/lKkk0


なんというきれいなQB


89:さっきから何度もサル食らってるゴメン:2011/03/23(水) 19:03:43.55 ID:sPCHu1Vi0


杏子「ほむら」

ほむら「っ……」

杏子「もっと、アンタと話したかったよ」

ほむら「……っ」

杏子「じゃあな。まどかのこと……しっかり守ってやるんだぞ」

グッ

ほむら「……うんっ!」

ザザザン! ザザザザザザン!

ほむら(さようなら……杏子!)

タッタッタッ…

杏子「……さあ……アイツは行ったよ、さやか。
   ……二人きりだ……静かになったな……。
   でもさ、もう、寂しい思いは……させないからさ」





――ずっと一緒にいてやるよ――


91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 19:07:01.51 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「…………」

ほむら「…………」

QB「……君だけでも逃げるといい」

ほむら「…………」

QB「……それが不服なら、まどかも連れて逃げればいい」

ほむら「…………」

QB「……どうして……」

ほむら「…………」

QB「……どうして逃げようとしないんだ! 君はっ!」

ほむら「…………ココが……この町が……まどかとの出会いの場所だからよ」

QB「そんな思い出に縛られて! 死んじゃったら元も子もないじゃないかっ! 訳がわからないよっ!
  命が無くなったら、生きてた意味も思い出の場所も、なんの価値もなくなるんだよっ!?」

ほむら「……あなたはそれで良いのよ、インキュベーター」

QB「っ!?」

ほむら「こんなバカげた感情……人間だけが抱けば良い」


93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 19:11:11.81 ID:sPCHu1Vi0


QB「そんな……バカげてるよ……本当に……」

ほむら「そうね。でも……このバカげたものが、私たちにとっては……尊いものなのよ」

QB「…………」

ほむら「……ワルプルギスの夜……大丈夫。私一人でも、倒してみせる」

QB「……無理だよ」

ほむら「可能よ」

QB「勝算が?」

ほむら「あるに決まってるわ」

QB「君は、生きて帰ってこれるのかい……?」

ほむら「…………」

QB「っ! だったら……!」

ほむら「それでも、やるのよ。私は」



――まどかのために――


――まどかを救う、私のために――


94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 19:13:35.54 ID:sPCHu1Vi0


――――――

QB「自爆……」

QB(佐倉杏子と同じ……自らのソウルジェムを犠牲にしての……攻撃……)

QB「長い年月……過去を戻る力を用いて磨き上げたソレは、
  確かにワルプルギスの夜を打倒するに値する力を秘めていた」

QB(でも……死んじゃったら……意味が無いじゃないか……!)

まどか「ほむらちゃん! ほむらちゃんっ!」

QB(まどかがこんなに悲しんでまで得られる平和は……
  本当に、君が望んだものだったのかい? ……ほむら)

まどか「嘘だよね!? 嘘でしょ!? 嘘だって言ってよ!
    だって私……まだほむらちゃんに、お礼も何も言えてないんだよ!?
    それなのに……それなのに! 勝手に死なないでよぉっ!」

QB(……辛いな……本当に)


95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 19:14:29.73 ID:sPCHu1Vi0


QB(こんなに苦しいくらいなら……いっそ……なくなってしまえば良いのに。
  昔みたいに……何も感じない、感情なんて生まれない……そんな、存在に、戻れれば良いのに……)

まどか「……キュゥべぇ……」

QB「……なんだい、まどか?」

QB(分かってるよ。君の言いたいことは)

まどか「……私が魔法少女になったら、ほむらちゃんを救える?」

QB(当然だ。だけど――)

QB「――オススメはしないよ」

まどか「……どうして?」

QB「そんなことをしたら、自らを犠牲にしてまで君とこの町を救った暁美ほむらが、報われないじゃないか」

まどか「…………」

QB(でも、そんな言葉で解決するほど、事は単純じゃない)

まどか「じゃあ……私が幸せになるためには、どうすれば良いの……?」


96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 19:16:02.33 ID:sPCHu1Vi0


まどか「尊敬する先輩が死んで、大切な友達が死んで、友達になれた子が死んで……
    私のことを守ってくれていた親友が死んで……どうやって! 私が幸せになれるの!?」

QB「…………」

まどか「……キュゥべぇになんと言われようと……私は願う。魔法少女になることを」

QB「……ダメだ……まどか……」

まどか「こんな不幸せな世界を救える世界……
    さやかちゃんを助けれて、杏子ちゃんも死なないで、マミさんが幸せになれて……
    ほむらちゃんとゼロから関係がスタートできる……そんな世界を、私は望みたい。
    その世界へと至れる力が、私は欲しい」

QB(なんてことだ……)

まどか「そして……キュゥべぇが……二度と苦しまない……そんな世界に、私はしたい」

QB(……こんな、力強い覚悟をもった言葉を言ったら……)

まどか「ぐっ! ううううううううううう……!」

パアアァァァァ…!

QB(魔法少女に、なってしまうじゃないか……!)

QB「……ここに……契約は成立した……!」

QB(……ごめんよ、ほむら……僕はやっぱり、君だけじゃなくて……まどかでさえも、救えなかったよ……)


97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 19:18:24.73 ID:sPCHu1Vi0


QB(不甲斐ない……不甲斐ない! なんだこのザマは!
  僕は……僕は! 何も出来なかった! 結局……結局はっ!)

QB「僕が嘘をつかなくても、何も変わらなかったんじゃないかっ!」

QB(こんなことなら……嘘をついていれば良かった!
  何もかもに嘘をついて、憎まれる存在であれば……!
  彼女達に肩入れしなければ……! 彼女達に! 情が移らなければっ!
  そしたら僕は……こんなにも! 苦しくなかったんだっ!)



カチリ



QB(こんな……苦しいだなんて感じる感情なんて無かったら……僕は……!)



十話・一度目のループ、ほむらが魔法少女へ至る物語へ





終わり


102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/23(水) 19:32:59.86 ID:TjOa5Lxr0








    スポンサーサイトQB「僕が嘘をつかなくても何も変わらなかったんじゃないか」のコメント
  1. 名前:通りすがり◆.QHYDPOo[saga] 投稿日:2011/03/24(木) 15:01:01.00 ID:SSJUNKIE178
  2. 結構面白かったよ
    でも、もう少しセリフを短くまとめて欲しかったな
    偉そうに言ってゴメソノシ
  3. 名前:名無しの中毒者◆vr0z0wgI[saga] 投稿日:2011/12/25(日) 18:32:17.00 ID:SSJUNKIE735
  4. QB「僕が嘘をつかなくても何も変わらなかったんじゃないか」の感想を書きこむ

    結局、何も変わらないのか……
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