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律「白いブラウス可愛い人」

このエントリーをはてなブックマークに追加 コメント (1) | カテゴリ: けいおん!SS | 更新日: 2011/05/28 22:30
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/05/26(木) 23:15:48.81 ID:czfguif80


今日は休日。久しぶりのデート。

さよならを告げる為の、最後のデート。

私こと田井中律は、ついに期限まで来てしまった大きな悩みを解決できず当日を迎え、

結局大して眠ることも出来ないまま朝を待ち、別れをテーマに並べた言葉をまとめる事も出来ず、ただただ宙に浮かべていた。

起きる予定だった時間を告げる目覚ましを鳴った瞬間に止めて、再びベットに寝そべる。

「どうしたもんかな……」

今日会う事を決めてからずっと考えても、いまいち出てこない。

そんな時、ふと見るとケータイが着信を告げていた。


2:1:2011/05/26(木) 23:17:15.58 ID:czfguif80


____

From ムギ

Message

りっちゃん、どうするの?

____

返す返事も思いつかず、開いたまま放る。

どうするも何も、そんなところは元から問題じゃないんだ。結論は出てるんだから。

ただ、相手を傷つける話をするのに、何とかして傷つけない方法を探している。

そんな馬鹿な考えしか出来ない自分を止められなくて、夜も眠れなかっただけなんだ。

結局はぐらかす様に、頑張るよ。とだけ返信した。


3:1:2011/05/26(木) 23:18:46.06 ID:czfguif80


* * *

澪と付き合うことになったのは高校3年になって直ぐだった。

「なぁ、良いだろ?律ぅ」

「絶対嫌だ!」

「何でなんだよ。皆あんなに褒めてくれたし、ムギも作曲する気マンマンだったぞ?」

「誰がなんて言おうと『冬の日』だけは認めない!」

「だから何でだよ!説明してくれないと……」

「だって……」

「だって?」

駄目だ、澪はこうなったら納得しないとテコでも動かないな。

「……分かったよ。説明するよ……」


6:1:2011/05/26(木) 23:20:31.47 ID:czfguif80


澪が新作として作った歌詞を、私が誰かからのラブレターと勘違いした。

それを受け取った私が浮かれて、緊張して、思い耽ったあの数日。

あんな恥ずかしい事を思い出させる詞にメロディーまで付けて大勢の前で歌おうなんて、絶対に願い下げだ。

「今思い出しても恥ずかしいってのに……何笑ってんだよ?」

「ハハハ……いや、だからあの時も全力で否定してたんだ」

「そうだよ」

澪が書いたって知って、余計にドキドキしたなんて絶対言えない。

「いつも強気なりっちゃんが以外と乙女で驚いたか?ちくしょー」

「乙女なのは知ってるよ」

「うぐ……」

「そうだな。……でも嬉しい」

「え?」

「私の気持ちが、届いてくれてて」

澪が恥ずかしそうに笑ってる。


9:1:2011/05/26(木) 23:22:03.95 ID:czfguif80


「は?」

「ラブレターと思ったって、あれラブレターだもん」

「はぁ?」

何を言ってるんですかこの子は。

「私ね。いつだって、律が居るだけで幸せなんだ」

「どんなに寒くたって、律が居るだけで暖かいし」

「どんなに落ち込んでても、緊張してても、律が居てくれればそれだけで頑張れる」

「律だって可愛いんだから。私の前で位髪を下ろした姿で居てくれてもいいなぁって」

「律の事ばかり考えてたら、あの歌詞が出来たんだよ」

「え……え~と、と?」

え?何?どういう流れ?この話。

私の狼狽を抑えつけるかの様に、澪がしっかりと私を見据えて言った。

「あの時から、いや、もっとずっと前から、私は律の事が好きだったんだから」

「……」

空いた口が塞がらない。

私が澪を想っていたように、澪も私を想っていてくれてただなんて。


12:1:2011/05/26(木) 23:23:30.48 ID:czfguif80


「だから……」

頭を下げ、手をこちらに向ける澪。

「私と付き合ってください!」

そうか。やっと頭が追いついた。

私が澪を好きだったように、澪も私を想っていてくれたんだ。

今、澪は告白してくれてるんだ。

「……私で良ければ、喜んで」

言いながら、澪の手をぎゅっと掴む。

二度と離さない様にと、願いを込めて。

「本当に!?」

顔を上げた澪の目には涙が溜まっていた。

あぁあぁ、真っ赤な顔しちゃって。よっぽど緊張したんだろうなぁ。

「勿論!私だって、澪の事ずっと好きだったし……」


13:1:2011/05/26(木) 23:24:56.75 ID:czfguif80


「友達じゃ無くて?」

「友達じゃ無くて」

「ライクじゃなくて?」

「ラブですよ」

「本当に?」

「だから言ってんじゃん。好きだよ」

ああもう恥ずかしい。

「やったー!」

いきなり抱きつかないで下さい澪さん。

「良かった~。『言うなら今しかない!』って思ったけど、断られたらどうしようかと思った」

私を抱きしめたまま、心情を吐露する澪。

肩に濡れた感触がするのはきっと彼女の嬉し涙だろう。

恥ずかしがりの澪がここまで勇気を出してくれたんだ。

しっかり応えてあげないとな。大好きな澪の為にも。


14:1:2011/05/26(木) 23:26:11.62 ID:czfguif80


……さて、それは置いておいて。

「あのですね、澪さん」

「ん?なんだ律?」

「ここ、往来ですよ」

「え?」

今は二人で帰ってる最中だったじゃないか。

街中でいきなり女子が女子に大声で告白なんて、そりゃ注目も集めるよ。

そんな事を忘れてまで気持ちを伝えてくれるなんて、なんて可愛いんだこの子は。

「え?あ……ふぅ」

あらら、限界超えて気絶しちゃったか。

よし、恋人としての初仕事だ。しっかり家まで送り届けてやろう。

* * *


16:1:2011/05/26(木) 23:28:36.68 ID:czfguif80


……懐かしいな。あの時は幼かったなぁ、私も。

二人で居ればそれで幸せ。

そんな幻想を本気で信じてがむしゃらに愛し合ってたあの頃。

最初は隠していたけど、軽音部の皆も認めてくれて。

愛さえあれば性別も何も関係ない。

澪さえ居れば周りの意見なんてどうでもいい。

そんな浅はかな考えでも生きていけた。

高校も大学も、澪との想い出で一杯だ。

……何でこんな日に、こんな事思い出すんだろうか。

よりにもよって今日、思い出す事も無いじゃないか。


18:1:2011/05/26(木) 23:29:42.79 ID:czfguif80


気づけば湯気も立たなくなっていたコーヒーを飲み干し、出発の準備をする。

結論を伝える事以外、何も決まって無いのにもうこんな時間か。

ケータイがまた震えている。可愛い後輩からだ。

____

From 梓

Message

今日なんですよね。

私、まだ分かりません。

どうしてなんですか?

別れる理由なんて無いんでしょう?

____

別れる理由?

未来が見えない事が平気なほど、子供じゃ無くなったんだよ。

……そんな言葉伝えても、分かってはくれないんだろうな。


23:1:2011/05/26(木) 23:32:04.84 ID:czfguif80


____

To 梓

Message

別れない理由も無いんだよ。

何より、それがお互いの為なんだ。

____

……澪の為なんて言ったって、言い訳にしか思ってくれないんだろうな。

本当に……澪の為なんだけど。

誰に対してだって、嘘を吐くのは辛いもんだな。

* * *


25:1:2011/05/26(木) 23:34:15.82 ID:czfguif80


放課後ティータイムは結果として解散し、

みんな社会人1年生として別々の道を歩み始めた。

あの頃3年生だった四人は一緒に大学を卒業。

唯はいつだったか語っていた幼稚園の先生の夢を目指し叶えた。

ムギは親の跡継ぎの勉強も兼ねて直営会社の運営。

澪は大手企業のOL。

互いに甘えてしまうからと、卒業後の住まいは別にした。

私は中々就職先が決まらず困っていたけど、

ムギのコネも有って何とか楽器店に就職出来た。

梓は音楽系の専門学校を卒業後、

親と一緒に日本や世界を飛び回っているとの事。

時々英語や何語かも分からない外国語を喋らせると、

どうにもアイツらしくなくて面白い。

からかうと頬を膨らませて怒るのは、昔と変わらず可愛いままだ。


26:1:2011/05/26(木) 23:35:13.92 ID:czfguif80


解散して別々の道を進んだとはいえ、

疎遠になったりした訳じゃない。

月に一度はバラバラにだけど全員と顔を合わせている。

色々喋ったり相談したり。

唯は子供たちにギー太でお唄の授業をして大人気だとか、

梓に最近事務所契約の話が来て悩んでいるとか、

私達の近況報告とか。

* * *


28:1:2011/05/26(木) 23:36:27.10 ID:czfguif80


待ち合わせまでは後1時間、待ち合わせ場所までは歩いて30分。

最後くらい待っててやるか。びっくりさせてやろう。

きっとあいつの事だから「明日は雪かな?」とか言うんだろうな。まだ9月だってのに。

いつだったか買った、澪のサイズのブラウスを羽織って、靴を履いて鍵をとる。

ドアを開けると同時にケータイが鳴った。

____

From 唯

Message

りっちゃん今日ヒマ?

お家でご飯でもいかが?♪

____

……こいつには今日の事伝えてなかったな。

まぁ言っても分かんないだろうし。

そんな事言うと私だってもう子供じゃないんだからね!とか怒りそうだけど。

夜には全部話してやろう。今日は唯の家集合でよろしく。

* * *


31:1:2011/05/26(木) 23:38:14.00 ID:czfguif80


「田井中さんってさ、彼氏とか居ないの?」

「ほへ?」

帰る支度をしている私に対する職場の先輩の突然の質問に、つい変な声をあげてしまった。

「いや、そんな話聞かないな~って思って」

薬指の指輪を擦りながら彼女が聞いてくる。

自分に彼氏が出来たばかりなんだから他所なんか見てなくていいだろうに。

「いえ、私は~」

「あ!もしかして、女子高女子大だったから~、彼女が居るとか?」

何も言った覚えは無いのに、ビシっと突かれた。

「え、あ、はい、あの」

話をしようとする私を遮って、お喋り好きの先輩は言葉を続ける。


32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/26(木) 23:38:22.66 ID:nkj/8HJSO


        _,, -―――‐- 、
      ,,-''´           `''-、
    /                   \
   ./      ノノ)ノ ̄ ̄リノ\    .'、
.    |     .,ノリ'´ '´  ―'´  \  |
    .|    ,'  ´ ̄`ヽ     ''⌒ヽ, リ
.   |   ./ .(  ., =、   , ., =、 .ノ゙
    i⌒'リ .|  `.く_ ・._) , 〈 .く_ ・_)ヽ     
    |(.ヽ|ノ.      _ノ   '、ヽ_  〉     僕が四番なのはテンプレ?
    .ト、_,イ \        (c、,ィ)    /     
    リ ノ.|           ,.へへ、 .イ     
    ノ/ \     、_∠ィ'lエlュ.レ /      
    /ヽ i \     ヽ二.ン ./         
 _,, -く  \.   `''-、   ン '、 /     
      \  `"''ー―\__ノ''- ,,_    
       \       ,ノ


34:1:2011/05/26(木) 23:39:52.14 ID:czfguif80


「な~んてね。そんな訳無いよね?ゴメンネ気持ち悪い事言っちゃって」

「気持ち……悪い?」

ザワリ、と背筋に何かが走る。

「だってそうじゃない?女の子同士でイチャイチャしてるのってさ。なんか気持ち悪くない?」

「え……」

先輩が話を続ける。私を、否定する話を。

「女子高とかって、そういうの多かったの?」

こっちの返事も何も無視して、彼女は続ける。


36:1:2011/05/26(木) 23:41:29.58 ID:czfguif80


「分かんないなぁ。女の友達にそんな感情抱くっていうのが分かんない」

「だってさ、同性だよ?何も出来ない、何も産めない、何も認められない。世間からズレてるってのに、そんな事出来る人たちの気が知れないよ。ね?」

私を否定されている。

澪を否定されている。

同意を求められる。

否定が出来ない。

言葉が出ない。

「まぁ、学校には居ましたけどねぇ……」

そんな風にはぐらかしてしまう。

自分でも、何処かで気付いていた事。


40:1:2011/05/26(木) 23:43:11.28 ID:czfguif80


「やっぱり?女しか居ないとそんな異常な考えの人間も出るんだねぇ」

異常……。その言葉を突き付けられても尚、何も言い返せない。

黙ってしまった私を見て、彼女が申し訳無さそうに言う。

「あぁ、ゴメンネ?田井中さんを責めてる訳じゃ無いのよ?」

「田井中さんはまともだものね」

まとも……?

「まともって……何でしょう?」

「やっぱり女の幸せって言ったら、好きな男の人と結婚して、子供産んで、彼の帰りを待つ事じゃない?」

「人によっては彼に任せて自分が仕事~なんて人も居るけど、やっぱ私は主婦がいいな」

誰もそんな事聞いてないのに。


42:1:2011/05/26(木) 23:44:08.98 ID:czfguif80


「仕事に生きるとか、そういう選択肢も有るけど、それも私は無理だな~」

わざわざ私に見える位置に指輪を持ち上げ

「やっぱ、女は恋に生きるものよ!人生変わった気がするもの」

「そうですか……」

「田井中さんも良い男見つけなよ!可愛いんだから直ぐ出来るって。じゃあね、お疲れ様」

止めを刺して更衣室を出ていった。

残された私は刺された言葉を拭う事も出来ず、ただ呆然とするだけだった。

* * *


46:1:2011/05/26(木) 23:46:13.15 ID:czfguif80


海沿いのカフェテラス。

二人で見つけたお気に入りの場所。

時間だけで待ち合わせを決めた時は、いつもここが集合場所だった。

予定が決まらない日は二人でここでずっとお喋りして、

海岸を歩いたり堤防で歌詞を作ったり。

思えば小学校の時から、私の隣に澪が居るのが当たり前だったな。

澪の事が好きで、同じ高校に行きたくて必死に勉強して、

離れたくなくて、無理矢理軽音部に入部させて、

クラスが違っても毎日部活で顔を合わせて、

新歓に学祭にロミジュリに、二人で一緒に練習して、

「駄目だな、楽しかった事ばかり思い出しちゃうや」

「私もだよ、律」

つい口を出た言葉に相槌を打たれ、振り返る。

「今日はやけに早いじゃないか。明日は雪かな?」

愛しい彼女が其処に立っていた。

* * *


50:1:2011/05/26(木) 23:47:45.50 ID:czfguif80


「澪はいつもこんな早くから来てたのか?」

私はアイスコーヒーのブラック。

「まぁ、時々ね。ココ自体好きだから」

澪はアイスのカフェラテ。

いつもの席に座り、思いついた事から会話はスタートした。

「暖かいから薄着で来たけど、海沿いだと寒いな」

「いや、アイスなんか頼むからだろ?」

「だってそういう気分だったんだもん……」

「ほら。コレ羽織っときな」

ブラウスを澪に渡す。


53:1:2011/05/26(木) 23:49:20.61 ID:czfguif80


「ありがと」

「零すなよ~。白いから目立っちゃうぞ」

「気をつけるよ。律は寒くないのか?」

「りっちゃんは風の子元気の子だからな。私の事は気にしなくて良いぜベイビー」

「なんだよそれ」

笑いの後、しばしの沈黙。

「「あのさ」」

「……澪からどうぞ」

「律からどうぞ」

「……おかしくねぇ?」

『冬の日』を思い出した私は、珍しく前髪を下ろした髪型に整え外に出ていた。

社会人になっても前髪を上げたスタイルを守ってた私のイメチェンに対して、彼女のリアクションが無かったのでつい聞いてしまう。


56:1:2011/05/26(木) 23:50:27.66 ID:czfguif80


「やっぱりさ」

澪を見ると口角が上がっているのがわかる。にやけてるのか?

「その律も良い。可愛いよ。流石律だ。可愛い」

「そっそんなに可愛い可愛い連呼するなよ!」

「なんだよ。事実じゃないか」

「うぐぅ……」

こういう流れはイニシアチブを取られがちになっちゃうから、話を変えないと。

「み、澪は何言おうとしたんだよ」

「同じだよ。前髪を下ろした、君の姿も可愛いって」

「……」

ニヤニヤしながらこっちを見る澪に何も言い返せない。


59:1:2011/05/26(木) 23:51:56.80 ID:czfguif80


顔が赤くなっているのが自分でも分かる。

「ラブレターにも書いたのに、高校の頃から言ってるのに、滅多に見せてくれないんだもん。折角だしじっくり見せてよ」

「止めろよ恥ずかしい」

こっちに伸ばしてきた澪の手を払い、コーヒーを一口飲む。

……今から別れ話をしようっていうのに、仲良しこよししてちゃ駄目だよな。

逃げちゃ駄目だ。彼女を傷つける、覚悟を決めないと。

「澪」

頭を振って、真剣に澪を見る。

そんな私を見た澪も笑うのを止めた。

「あのさ」「律」

話しようとした私を遮って

「私はさ。今はこれから先よりも、これまでの思い出に浸りたいんだ」

向こうの海に目線をやりながらそう言った。

彼女は今日、私が何の話をするか分かっているんだ。

それに気づいて、彼女が何を思ってるのか聞くのが怖くて、私は言葉を飲み込んでしまった。

* * *


63:1:2011/05/26(木) 23:53:52.31 ID:czfguif80


思い知らされたのは、私達が異常だという事。

澪が異常だと、異端だと世間に思われるという事。

私と付き合うという事は、澪が先輩が言った様な扱いを受けるという事。

私と付き合っている限り、澪は幸せになれないという事。

頭の何処かでは分かっていた。

女子高、女子大と女だらけの生活だったから鈍くなっていただけだ。

社会に出て気づかされた。思い出さされた。

恋愛というものは男と女がするもので、恋人という言葉は愛しい『異性』を指す言葉だと。

知っていた。改めて理解した。

でも、澪さえ居ればそんな事気にもしなかった。幼い頃はそれでも良かった。

私は良い。私は良いんだ。どう思われても笑われても傷つけられても。

でも、澪がそんな風に世間に見られて、後ろ指を指されて過ごす事になるのが私には耐えられない。

澪の幸せが、私の幸せだから。

澪が幸せになる為には、私が一緒にいちゃ駄目なんだ。

* * *


65:1:2011/05/26(木) 23:55:05.10 ID:czfguif80


カフェテラスを出て、海岸を歩く。

もう秋が近付き、浜風が涼しい。

澪は私のブラウスを羽織ったまま、波打ち際で遊んでいる。

「合宿で行った海も、楽しかったよなー!」

「フジツボの話とか「言うなー!!」」

「冗談冗談。皆で遊んで、BBQしたり花火したりな」

「合宿だ!って言ってたのにな」

「何だかんだで澪と梓が一番楽しんでたじゃないか」

「それは言うなって」

他愛のない思い出話が続く。高校時代も楽しかった。


68:1:2011/05/26(木) 23:58:03.05 ID:czfguif80


「大学に行っても色々有ったよな」

「軽音部も良い人ばっかりだったし、ライブも色んな所で出来たしな」

「晶たちや先輩たちと対バンしたり。あの三人組、元気かなぁ?」

「この間晶からメール有ったよ」

「元気そうだった?」

「仕事が辛いって」

「澪ちゃんファンクラブも拡大の一途だったしな」

「曽我部先輩が張り切るから……」

「同じ大学行けばそうなるよな~。晶も入ってたし」

「え?そうなの!?」

「菖が言ってた」

「晶まで……知らなかった……」

「澪ちゃんったら大人気だから~」

他愛のない思い出話が続く。大学時代も充実してた。


71:1:2011/05/26(木) 23:59:05.50 ID:czfguif80


「梓のチョコケーキ、美味しかったよな」

「あれから毎年貰ってるけど、年々腕を上げてるよな。流石だよ」

「澪ちゃんも後輩を見習わないと」

「はいはい、来年は頑張りますよ」

「来、年……って……」

他愛のない思い出話が続く。これから先の話は……出来ない。

「駄目か?」

「え?」

震える声に顔を上げると、澪は目に涙を湛えている。

「なぁ、駄目か?来年も、その先も、私はずっと律と居たい!」

詰め寄ってきて私の手を握り締める。

「だって、それじゃ澪が……」

「私の為?私の所為?」

手を振り払う事が出来ない。


73:1:2011/05/27(金) 00:00:24.08 ID:LvXe/ZdY0


「私は律が好きだ!律は私の事、嫌いになったのか?」

「そんな事……有る訳ないだろ」

「じゃあ何で!好きなのに、何で別れなきゃいけないの!?」

「だって、この関係に未来が無いから……」

「未来?律の見てる未来ってなに?そこに私は居たらいけないのか?」

澪を見つめる。涙が溢れている。その顔がぼやける。私も同じ様に泣いている。

「私じゃ、澪を幸せに出来ない!」

伝えなきゃいけないんだ。

「結婚も出来ない!子供も出来ない!世間に認められないこんな関係、続けてちゃ駄目なんだ!」

澪と、離れなきゃいけないんだ。

「澪が!幸せになれない!」


74:1:2011/05/27(金) 00:02:19.14 ID:LvXe/ZdY0


その瞬間、乾いた音が響いた。

少しして、自分の頬が叩かれたんだと気づく。

溢れる涙を拭おうともせず、澪は私を見つめる。

「私の幸せを、何で律が決めるんだ?」

「だって、女同士じゃ……」

「私にとって、律と二人で居る以上の幸せは無いよ」

私の頬を叩いた手で、そっと頬に触れる澪。

涙で崩れながらも、精一杯笑っている。

「さっきのカフェテラスでも、これまでも、いつだって律の隣が、律の傍が一番幸せなんだ」

「でも……」

嗚咽が混じって、伝えたい言葉が喉から出てこない。

「今だってそうだ。幸せだよ。律は違う?」

私の頬を撫でる澪の泣き顔が、美しく見える。

澪から見た私も、こうなんだろうか。そうだといいな。


75:1:2011/05/27(金) 00:03:28.43 ID:LvXe/ZdY0


「でも、澪と一緒には、もう居られない。居ちゃ駄目なんだ」

精一杯、言葉を出す。

「澪にはきっと、私より幸せにしてくれる人が居るはずだから」

良い男と出会って、結婚して、良い奥さんになってほしいんだ。

それが澪にとって、幸せのはずだから。

「澪に幸せになってもらうのが、私の幸せだから」

「……そうか」

スッと、澪が立ち上がる。

一度キュッと口を結んだ後、彼女は決意を口にした。

「律がそういうなら……私、頑張ってみるよ」

私との、別れの決意を。

* * *


76:1:2011/05/27(金) 00:07:09.20 ID:LvXe/ZdY0


「コレ、返すよ」

ブラウスを脱ごうとした澪を止める。

「良いよ。寒いだろ?着て帰って良いよ」

「そう?じゃあ……ココでお別れ」

「そう……だな」

「あ、そうだ」

澪が思いついたように言う。

「律が言った様に、私を幸せにしてくれる人がもし見つかったら、真っ先に紹介するね?」

きっと、精一杯の強がり。

「止してくれ。嫉妬しちゃう」


77:1:2011/05/27(金) 00:07:52.04 ID:LvXe/ZdY0


「折角だし、嫉妬させたいな」

「勘弁してくれよ」

お互いに泣き腫らした顔で笑う。

一頻り笑って、大きく一息。

「それじゃあ」

「うん」

「さよなら」

「さよなら」

お互いに背を向けて歩き出す。

澪とのお話はこれでお終い。

二人の思い出の場所は今日、二人の終わりの場所になった。

* * *


78:1:2011/05/27(金) 00:10:43.14 ID:LvXe/ZdY0


ピンポーン。唯の家のベルを押す。

中から足音が聞こえ、少ししてドアが開く。

「あなた、おかえり~……ってすごい顔」

そりゃ海岸沿いで泣きじゃくりましたから。

ボケに乗る元気も無くてごめんな。

テーブルの前に座ると、唯が紅茶を持ってきた。

「で、どしたの?」

一口飲む。澄んだ味が口の中に広がる。

ムギの紅茶には及ばずも、中々上手になったもんだ。


79:1:2011/05/27(金) 00:11:30.25 ID:LvXe/ZdY0


「澪と、別れた」

「……そう」

大した動揺もせず、唯は私をみつめたままだ。

「どうしてとか、聞かないのか?」

「どうしてとか、聞いてほしいの?」

「どうして……だろうな。もう自分でも分かんないや」

ホント、結局どうしたかったんだろ。

澪の幸せを願って、嘘まで吐いて、こっちの考えを押し付けて無理矢理別れて。

落ち着いて考えれる今になって、後悔の波が押し寄せる。

「同性愛ってさ、非生産的じゃない?」

「どうして?」


80:1:2011/05/27(金) 00:12:33.85 ID:LvXe/ZdY0


唯は不思議そうな顔をしている。

「好きだけで一緒に生きるには、この世は難しすぎるんだよ」

唯に言ってるんじゃない。

自分に言い聞かせてるんだ。

「日本じゃ結婚も出来ない。女同士じゃ子供も出来ない。世間からも認められない」

押し寄せる後悔を、何とか抑えつけようとして。

「子供の頃とは周りの目とかさ、全部違うから。大人は難しいよ」

こんなに辛いなら、ずっと子供で居たかった。

澪さえ居ればそれで良かった、あの幼いころに。


81:1:2011/05/27(金) 00:13:56.87 ID:LvXe/ZdY0


「可愛い澪ちゃんの事だからさ。すぐ良い男捕まえてさ、玉の輿とかさ」

澪が私の知らない人に抱かれる。そんなの嫌だ。

「で、専業主婦になっちゃって。子供と一緒に旦那の帰り待ってさ」

澪が私の知らない世界に行ってしまう。そんなの嫌だ。

「きっと、そんな、絵に描いたような幸せがさ。すぐにやってくるはずなんだよ」

私の隣に澪が居ない。そんなの嫌だ。でも……

「なんたって、私の元恋人だからな」

「……元……」

「そう、元。だからもう小言を言われる事も無いし、ワガママを聞く事も無い」

「もう笑ったり泣いたりするアイツに振り回されることも無い」

「抱きしめる資格も、幸せを願う資格だって、本当はもう無いんだよ」

その言葉尻を追う様に、枯れたと思ってた涙がまた溢れだした。


82:1:2011/05/27(金) 00:15:55.46 ID:LvXe/ZdY0


「っと。ごめんな、唯。変な話しちゃって」

「いいんだよりっちゃん」

そういって、唯が私を抱き込む。

「ゆい……」

「我慢なんて、しなくていいんだよ?」

唯の胸に埋まって、私の感情の箍が外れた。

「うぁああああああああああああああ!」

後悔も、感情も、涙も、澪への想いも、もう抑える事が出来なかった。


83:1:2011/05/27(金) 00:17:49.49 ID:LvXe/ZdY0


「澪の事がずっと好きだったんだ!だったじゃない!今でも!今だって!」

「でも、でも澪には私より幸せに出来る人が居るはずだって、思って、信じて……」

「女の私じゃ!出来ない事が多すぎるから!」

「澪があんな風に言われるなんて耐えられなくて!だったら私から離れた方が良いって!」

「だからって、あんな言葉で澪を傷付けるしか出来なくて!」

「私だって!澪が隣に居るだけで幸せだったよ!」

「二人で居たいよ!ずっと!ずっと!」

「澪が何より大事で!何より大切で!私の隣は澪以外考えられなくて!」

「澪さえ居ればそれで良かったんだ!それで良かったのに!」

「そばに居て欲しいよ……澪……」

澪だけを想って、澪の為に生きる。

それだけを考えて生きていきたかった。


84:1:2011/05/27(金) 00:21:10.46 ID:LvXe/ZdY0


無理をして、嘘まで吐いて、突き放して、別れて。

もしも他に方法が有れば、もっと考えれば、子供な考えのままで先輩に反論していたら。

もしかしたら違う結果が有ったかもしれない。

そんなたらればが、波の様に押し寄せる。

でももう別れを告げたから、悔やんでも悔やんでも戻れない。

過ぎ去った時間は戻ることも無く、今日が終わっていく。

「りっちゃんにとっての幸せってなんだったの?」

私を抱き込んだまま、唯が優しく訪ねてくる。

「私は、澪と居るだけで幸せだったな……」

「澪ちゃんも、そうだったと思うな」

そうだ。澪も、そう言ってくれていた。

そうだ。私も、そう思っていた。

今になって一番大事な事に気づく。


85:1:2011/05/27(金) 00:22:47.59 ID:LvXe/ZdY0


二人で居る事が二人の幸せだったのに。

二人の気持ちは、同じ前を見ていたのに。

澪も、そう言っていたのに。

私も、そう思っていたのに。

澪と居る事が私の一番で、私と居る事が澪の一番だと言ってくれた。

そんな事も忘れて、勝手に澪を突き放した。

そんな私の嘘も、澪はきっと気付いている。

嘘を吐いてまで別れた私を、澪は許しはしない筈だ。

もう会う事も無い。会える訳が無い。

もう、大好きな人の隣を歩く事は出来ない。

彼女の決意を聞いたから。

彼女から、さよならを、受け取ったから。


86:1:2011/05/27(金) 00:32:41.72 ID:LvXe/ZdY0


* * *

「りっちゃん、落ち着いた?」

「うん、ありがとう。唯。でも、もう少しこのままでもいい?」

「りっちゃんとなら何時間でもこうしてられるよ」

私を抱き込んだまま、唯は甘えさせてくれる。

「流石に何時間もやってらんないって」

「だよね~。……りっちゃんはさ」

「うん」

「本当は、どうしたかったの?」

「澪に、幸せになってほしかった」

「澪ちゃんを想うりっちゃんじゃないよ」

「え?」

「りっちゃんが、どうしたかったの?」


87:1:2011/05/27(金) 00:33:56.95 ID:LvXe/ZdY0


「どう。って……」

「りっちゃん、私はね」

「ん?」

「何でも自分で決めれる様になって、初めて大人になったと思ったんだ」

「何をいきなり」

「子供の内はさ、先生とか、お父さんお母さんとか、私の未来を一緒に考えてくれる人や決める人が一杯居たけど」

「大学を卒業して、就職先も住む所も、ぜ~んぶ自分で決めて」

「誰の意見に従わなくても自分の事を全部自分で決めるんだって」

「そう思ったとき、初めて『自分が大人になったんだ』って思ったんだ」

「唯?」

「だからさ、りっちゃんも大人になったんなら、自分たちの事は自分で決めて良いんだと思うよ?」

「世間がどうとか、日本がどうとかさ」

「そんな周りに振り回される事も無い、大人になったんだからさ」


88:1:2011/05/27(金) 00:35:41.54 ID:LvXe/ZdY0


「子供の頃は通せなかったワガママも、大人になったら通せるよ」

そっか。二人が良ければ、我を通してもいいんだ。

「……私は、澪と一緒に居たかったな」

「うん」

「澪には色々言い訳したり、嘘吐いたりしちゃったけど。うん、それが本心」

「澪の都合なんか考えないで、私の好きにしていいよって言われたら、私はきっと一日中澪に抱きついてるかもしれないな」

そんな事、した事も無かったけど、今にして思えばもっと甘えれば良かったかな。

「じゃあ、それでいいじゃない」

といっても今更戻れないし、こんな事言ったって後の祭りでしかないわけで。

「それじゃ、改めて澪ちゃんへの気持ちを言ってみようか」

「え、何でそんな事」

「聞いてあげるから」

唯を見上げる。微笑んでくれる。

懺悔でもしようか。今日本当に言うべきだった事を並べようか。

「……澪」

正直に気持ちを、並べてみようか。


89:1:2011/05/27(金) 00:38:23.53 ID:LvXe/ZdY0


「私は、あの頃から、澪の事、今でもずっと大好きだ」

「大人になって、社会に出て、色々と周りが傷つけようとしてきたり、厳しい目で見てきたりするかもしれないけど」

「それでも澪といれば、私幸せなんだ」

「だから……私と、ずっと一緒にいてくれないかな?」

今日、あの海辺で、本当はこう言えば良かった。

又一つ、後悔する。

私って、ホント馬鹿。

「……だってさ、澪ちゃん」

「え?」

唯から離れる。視界の端で揺れる白いブラウス。


90:1:2011/05/27(金) 00:40:40.23 ID:LvXe/ZdY0


「なん……で?」

目線を映したドアの前に、愛しい人の姿。

混乱する私に向かって彼女が歩を進める。

「この……馬鹿律!!」

そのままの勢いで、拳骨を振り下ろした。

「痛゛っ!?」

頭を抑える私を、澪がそのまま持ち上げる。

「この、嘘吐き」

澪さん、顔が怖いです。

「ごめんなさい……」

「何が『澪の幸せが私の幸せ』だ。本当は一緒に居たいだけの癖に」

「はい……その通りです」

「本当に、私を幸せにしたいんだろ?」

「そりゃ!……勿論」

「じゃあ、兎に角今すぐ抱きしめてよ!」

バッと、両手を広げて私を待ち構える。


91:1:2011/05/27(金) 00:42:55.47 ID:LvXe/ZdY0


「澪ぉーー!」

全力で跳びかかり、力一杯抱きしめる。

そんな私を、澪はしっかり抱き返してくれる。

澪が私の頭を撫でてくれる。抱きつくといつもこうしてくれる。

澪のにおいがする。私の好きなにおい。

長い黒髪が顔に当たってくすぐったい。いつもの感触がする。

しっかりと、抱きしめあってお互いを確かめ合う。

今度こそ、二度と放さないと、願いを込めて。

これで良かったんだ。澪だってそう思ってくれている。

世間のしがらみも奇異の目も、二人で居れば関係無い。

傷つける奴が居れば、私が澪を守る。

あの先輩にだって、何が悪いと逆に問い詰めてやる。


92:1:2011/05/27(金) 00:44:24.36 ID:LvXe/ZdY0


好きな人を好きだと言えないで、何が大人だ。

ぎゅうぅ。

「あの~澪しゃん?」

何かどんどん抱きしめる力が強くなってるんですけど。

「付き合い始めてからさ、律に嘘吐かれたのって初めてだな~」

「……そうでしたっけ」

「嘘吐きには、罰を与えないと駄目だよね?」

「さっきの拳骨は?社会人になって初でしたけど……」

「与えないと駄目だよね?」

「はい……」

あれ、また涙が出ちゃう。違う意味で。

「じゃ~あ~、どうしようかなぁ?」

小憎らしく笑う彼女は、今や死刑執行人の様で。


93:1:2011/05/27(金) 00:46:30.89 ID:LvXe/ZdY0


「……軽めでお願いします」

まぁ、悪いのは私だし?どんな罰でも相応と思えば。

「許すまで放さない」

「え?」

「例え遠くに離れることが有っても、律の嘘を私が許すまで放してやらない」

さっきと違う、さわやかな笑顔で彼女は続ける。

「勿論、一生許す気は無いけどね」

そういって軽く口づけをする。

「あ、私を幸せにするまで、の方が良かったかな?」

「どっちでも一緒だよ。もう許したって幸せになったって放してやるもんか」

抱きしめる手に力を込める。そうだ。もう放したりするもんか。

「そうそう、それで良いんだよりっちゃん」

声に振り向くと拍手する唯。

そういえば人ん家で何やってんだ私達は。

「ココ、唯ん家だったな。忘れてた」

「いや~、良いもの見せてもらいました」

わざとらしく涙を拭う唯。

紅茶片手に良い御身分で。


94:1:2011/05/27(金) 00:48:57.57 ID:LvXe/ZdY0


「あ……あ……」

私を抱きしめたまま、澪が固まっている。

りんごかと思うほど顔赤くしちゃって、まぁ今の流れを見られたとあっちゃなぁ。

口パクパクして、可愛いなぁもう。

「じゃあこのままりっちゃん澪ちゃん仲直りパーティだね!あずにゃんムギちゃん、久々にHTT全員集合だよ!」

パンパン!と手を打つ唯。

「はぁ、何言って」

バターン!

「話は聞かせてもらったわ!りっちゃん!」

「ちょっと!折角隠れてたのに何でバラすんですか唯先輩!」

開いた口が塞がらない。

そのクローゼットは今すぐ閉じてほしいけども。

今の一部始終全部HTTで共有かよ。恥ずかしいなぁオイ。

取り敢えずムギ、その手に有るカメラは後で没収だ。

「あちゃ~。澪……あれ?」

あ、澪ったら立ったまま気絶してる。

そりゃ限界も突破するよな……。

* * *


95:1:2011/05/27(金) 00:52:58.53 ID:LvXe/ZdY0


「皆心配してくれてたんだよな」

「そうだよりっちゃん。あずにゃんなんか今日だってずっと泣いてたんだから」

そのままの流れでパーティが始まり、どんちゃん騒ぎ。

澪も目を覚ました後、皆に礼を言いながらドリンクを一気した。

色々有って喉が渇いてたからって、チューハイ一気は無茶だったんだろう。

そのまままた倒れちゃって今は私の膝の上で眠っている。

一段落ついて、唯から今日の話の流れを聞いた。

ムギと梓から今日の私たちの話を相談されていた唯は、今日の朝の時点で私達二人共にメールしてたらしい。

私の本心を引き出し、澪に聞かせて仲直りさせようと画策し、私達は見事に乗ってしまった訳だ。

何がびっくりって、発案から何から全部唯が主導って事だな。

「ありがとな、唯。凄いよお前」

ホント感謝してる。まだまだ子供かと思ってたけど、私より断然大人じゃないか。

後の二人はそこで丸まって寝てる事だし、後で改めて礼を言わないとな。


96:1:2011/05/27(金) 00:54:50.23 ID:LvXe/ZdY0


「どういたしまして。愛するりっちゃん隊長の為ですから」

「そうかそうか、素晴らしい隊長愛だぞ唯隊員。まぁ私は澪のモノだけどな」

「妬けますなぁ」

唯のニヤケ顔でこちらを見る。酔ってるからかやけに顔が赤い。

「ほら見てみろ唯。お前の愛しのあずにゃんが無防備な格好で誘ってるぞ」

恥ずかしさに負けた田井中律は中野梓を生贄に捧げた!……スマン、梓。

「ホントだ。……あ~ずにゃ~ん!」

「んにゃ!?ちょっ、止めてください唯先輩!」

「良いではないか良いではないか~」

さて、私も少し寝ようかな。

ふと膝に目をやると、澪がこちらを見つめていた。

「あぁ、澪起きてた?」


97:1:2011/05/27(金) 00:57:48.57 ID:LvXe/ZdY0


「うん」

寝ぼけ眼なまま澪が起き上がる。

顔がほんのり赤いのはまだ酔いが抜けてないからだろう。

「大丈夫か?」

「ちょっと、頭痛い」

「ベランダ出るか?」

「うん、外の風浴びる」

肩を抱いてベランダに出る。

一度戻ってジュースとタオルケットを取ってベランダへ。

視界の端で梓が半裸になってる様に見えたけど、きっと酔いの所為だろう。

「律せんぱ、たすけ「あ~ずにゃぁあ~ん」ひゃん!」

グッドラック、あずにゃん。

ムギがしっかり撮ってくれてるから安心しろ。

「ムギ先輩も何でカメラを「あ~ぁずにゃぇあ~ん」にゃぁあ!」


98:1:2011/05/27(金) 01:00:41.54 ID:LvXe/ZdY0


ベランダに出て、ジュースを開けて、一つ澪に手渡す。

「ありがと。何か梓の声がしたけど」

「気にするな。問題無い」

「何だよそれ」

目線をジュースに落とした澪が、思いついた様にこっちを見なおした。

「そうだ、乾杯しようか」

「え、もう口つけちゃったよ」

「良いよ良いよ。乾杯しよう」

缶をこっちに向ける澪。

「何に?」

「律に任せる」

やけにニヤニヤしてると思ったらそういう事か。

そうだな。乾杯する事なんか一つしか思いつかないよ。

「じゃあ、二人で幸せになれますように?」

今度は私が、決意の言葉を。

「それはいいな」


99:1:2011/05/27(金) 01:01:23.43 ID:LvXe/ZdY0


まずは、どうしようか?

両親に報告、は流石に早いな。笑われるか、怒られるか、呆れられるか。

聡辺りには笑われそうだな。

「だろ?それじゃ……」

まぁ、澪と二人なら、もう何が有ったって一緒に歩いて行けるよな?

「「乾杯」」

END


105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/27(金) 16:10:04.47 ID:2oIkws7SO


お疲れさん。

歌聴いたってあるなら、元ネタは提示した方がいいよ。
YouTubeのリンク貼付けるとか


106:1:2011/05/27(金) 23:11:07.06 ID:LvXe/ZdY0


>>105

助言感謝いたします。



元ネタはシド「白いブラウス可愛い人」です。


100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/27(金) 01:05:36.36 ID:xbNc02tHo


最後また二人が一緒になれてよかった
すごい面白かった乙!


元スレ:律「白いブラウス可愛い人」
    スポンサーサイト律「白いブラウス可愛い人」のコメント
  1. 名前:名無しだから恥ずかしくないもん!◆-[saga] 投稿日:2011/05/29(日) 19:50:37.00 ID:SSJUNKIE354
  2. やっぱりシドか
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