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唯「体が求めるの…」

このエントリーをはてなブックマークに追加 コメント (1) | カテゴリ: けいおん!SS | 更新日: 2010/11/24 21:38
唯「体が求めるの…」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/13(日) 23:45:37.72 ID:SKVoVC/20

憂が外から連れてきた人間を隣の部屋でバラしている。今日は、どこかの大学生の肉らしい。

関節をねじり切るように包丁を入れ、上手に四肢を外した後、腹を割いて食べれる臓器を取り出す。

汚物を洗い流し、血を抜かれた臓器はヌラヌラと黄色やピンク色にテカッている。

臀部の肉をそぎ落とし、大腿の肉と一緒にフライパンで焼いてステーキにする。塩コショウをかけると美味だ。

内臓は眼球と一緒に鍋にする。コトコト煮てから私が食べる。味はとても苦い。けれども癖になる苦さだ。優しい苦さだ。

四肢は骨ごと食べる。証拠が何も残らないように、私は骨の一本、腱の一本残らぬように血の一滴まで人間の体をすする。すると、最後に一個の大きな脳みそが残る。私はそれを生で食べる。

自分の悪いところの部分を食べるといいらしい。肝臓を痛めたときはレバー、心臓を痛めたときはハツ。私は頭が悪いから、一番脳髄がいいんじゃないかな。


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/13(日) 23:52:14.48 ID:SKVoVC/20

さわ子「平沢さーん、平沢さーん」

さわ子「平沢さんは今日も欠席ね…田井中さん、HR終わったらちょっといいかしら」

律「はーい」

律(唯の奴、一週間も学校休んでどうしたんだろ。憂ちゃんも休んでるみたいだし)

澪「おい、唯の奴大丈夫かな」ゴニョゴニョ

律「うーん…」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/13(日) 23:54:56.45 ID:SKVoVC/20

さわ子「ねえ律ちゃん、唯ちゃんから欠席の理由聞いてないかしら」

律「いや…聞いてないよ、なあ澪」

澪「はい。その、唯にメールや電話しても全然返事がなくて…」

さわ子「そう…親御さんは海外にいるらしくて連絡取れないのよね…」

律「あの、昨日の放課後、唯ん家に様子見に行ったんだけど、インターフォン鳴らしても誰もでなかったんだよ…梓は憂も同じ頃から学校休んでいるって言ってたし」

さわ子「心配だわ。何かの事件に巻き込まれていなければいいけれど」

澪「じ、事件……」ガクガクブルブル

律「澪は怖がりだなー唯達に限ってそんなことないって、しっかり者の憂ちゃんもいるし」

さわ子「そうね、なにもなければいいわね」

放課後になっても唯は学校に現れなかった


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:00:51.32 ID:SKVoVC/20

律「にしても唯の奴どうしたんだろー」

紬「おかしいわよ、私たちに何日も連絡入れないなんて」

梓「……」

放課後の軽音部の練習は中止になり、四人は唯の家に向かっていた

澪「やっぱりなんかの事件に巻き込まれたんじゃ……」

紬「…ありえなくはないわ、けど大丈夫よ、きっと」

梓(なんの根拠も有りませんね)


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:04:03.41 ID:8ZHHyVdG0

ぴーんぽん

律「唯ーいるかー返事しろー」

澪「ちょっと、律。声が大きいぞ、近所迷惑になるぞ…」

梓「……ちょっと私、近所の人に聞いてきます」

澪「っ!梓!」

紬「私も行くわ」

澪「ムギまで、もう…」

がちゃ


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:09:31.79 ID:8ZHHyVdG0

唯「……」

律「おーー唯じゃん!久しぶり!どうしたんだよー」

律「おい、ムギ、梓、澪、唯が出てきたぞー」

梓「唯先輩!どうしたんですか、風邪でも引いたんですか!」

澪「みんな心配したんだぞ!」

紬「唯ちゃん、何かあったの?」

唯は私服姿で玄関口に立っていた。寝起きなのかかなり物憂げで、髪の毛が少し伸びて顔の一部を覆っていた。

唯「みんな……心配かけてごめんね」

そう言って唯は四人を家にあげた。


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:17:18.90 ID:8ZHHyVdG0

律「にしても一週間も何してたんだよー携帯で連絡くらい入れろよー」

四人は出されたお茶を居間ですすりながら唯に様々な疑問をぶつけ始めた。

唯「風邪引いてたの…携帯電話は充電が切れて、電源コードが見つからなくって…」

唯「そういえば、さっき家電にさわ子先生から電話あったよ。なんかすごい心配してたみたいだけど」

澪「そりゃ、一週間も連絡なしだったら心配するぞ」

梓「そうですよ、唯先輩」

唯「ごめんね、あずにゃん」

律「ご両親は帰ってこないのかー」

唯「うん、今南アフリカにいるみたいだよ。風邪くらいで呼び戻すのも悪いしね」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:23:29.13 ID:8ZHHyVdG0

澪「そうか、でも安心した。学校はいつから来れそう?」

唯「うん、明後日から行けると思う。もう大丈夫だけど、一応安静にしてないとね」

律「なんだか唯が大人に見えるぞー」

梓「…安静だなんて唯先輩らしくないですよ」

唯「もう!律ちゃん、あずにゃん!」

律「おっ。唯が怒ったぞー」

澪「クス」

紬「…ところで憂ちゃんはどこかしら?」

梓(あ、それ私も気になってた。ムギ先輩GJ!)

律(確かに憂ちゃんが入れば連絡取れるよなー)

澪(そういえば、いっつも玄関で出迎えるの憂ちゃんの役割だったのに)

唯「あー憂ね」

一同(ゴクリ)

唯「しらない」


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:29:55.49 ID:8ZHHyVdG0

律「え、知らないってことはないだろ、喧嘩でもしたのか?」

唯「あ、ごめん、多分今近くの商店街で買い物してる所だと思う。私も今起きたばっかりだから、憂も何も書き置きせずいっちゃったみたいで」

梓「携帯で連絡は取れないのですか?」

唯「だって私も憂も携帯使えないもん」

澪「憂ちゃんもかよ…」

唯「うん。憂の携帯は私がいじってたら壊しちゃった。あはは」

唯「憂を待つー?」

梓「いえ、いいです。憂によろしく伝えて下さい」

唯「うん、わかった。」

律「それじゃーな唯」

紬「……」

澪「じゃ、また学校で」

唯「うん、律ちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、あずにゃん。またね」

ぎーばたん


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:32:57.06 ID:8ZHHyVdG0

死後に残された琴吹紬の手記

××家の地下には赤い部屋があります。階段は鉄で出来ていて、ところどころに赤い錆があります。そこからは血とも鉄ともわからぬ匂いが立ち上ってきます。

あの地下の部屋には何も有りません。沢山の本がおいてあります。

『解析概論』『言語と行為』『西田幾多郎哲学全集』三つだけぱっと覚えました。あとはこれに類する本が柱のように積まれています。けれども全て日本語でかかれた本のようでした。

部屋の隅に、鉄の格子のついた、人が一人入れそうな通風口が有ります。私はこの先には進みませんでした。きた道をもどり、××家の外に出ました。けれども、この先に何があるかは知っていました。

この先には唯ちゃんが閉じ込められています。私たちはずっと唯ちゃんをそこに閉じ込めていたのです。唯ちゃんは手足を固定され、丈夫な便器の上に座らされています。排泄はそこで行われ、食事もそこで行われます。

唯ちゃんは人間の肉を与えられます。誰が与えるかというと×××です。私たちは人間の肉を食べたことはありませんが、唯ちゃんに尋ねたところ、脂っこくて癖になる味、だそうです。


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:38:30.35 ID:8ZHHyVdG0

律「あー唯の奴風邪引いてたのかー憂ちゃん一人でずっと看病してたんだなー」

澪「うん、えらいよ唯は」

梓(……不都合な点が幾つかあります…ムギ先輩は気がついているようですが…)

紬(怪しいわ、唯ちゃん。何を隠しているの?そして姿の見えなかった憂ちゃんはどこへ……?)


律「それじゃーな」

梓「はい、さよならです」

梓は律達と別れて一人、商店街を歩いていた。楽器屋を見に行くと口実を作って皆と別れた。だからといって梓に何か作戦があるわけではない。ただ、一人で唯がなぜ嘘を付いているのかを考えてみた。

なぞの伝染病?(私たちもやばいんじゃ…)家庭内暴力?(外傷は見つからなかったけど)それともただのサボリ(なら私にはメールくらいしてくださいよ)

紬「梓ちゃんも不思議に思っているのね」

梓「ムギ先輩!」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:42:31.54 ID:8ZHHyVdG0

紬「律ちゃんや澪ちゃんも怪しいなとは思っているみたいだけど、あまり興味がないらしいわ。私はなぜ唯ちゃんが嘘を付いているのか気になって仕方ないけど。」

梓「ムギ先輩もですか。そもそも携帯電話が使えなかったてのがおかしいです」

紬「ええ。それに玄関に、憂ちゃんの靴が置いてあったわ。憂ちゃんは確実に家のなかにいた。それを唯ちゃんは隠していたのよ」

梓「!……さすがムギ先輩です」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:46:56.94 ID:8ZHHyVdG0

突然紬が素っ頓狂な声をあげた。

紬「ちょっと、あれ憂ちゃんじゃない?」

紬が指を差す方、商店街のはずれのファストフード店の前を私服姿の憂が歩いていた。たしかに大きなエコバックを持って、買い物帰りのように見えた。

梓「……憂は靴を二足持ってただけだったんじゃ…」

紬「そうかも…恥ずかしいわ…でも、唯ちゃんが怪しいことにはかわりない。」

梓「どうします?憂のあとを付けますか?」

紬「いえ、声をかけてみましょう…あっ憂ちゃーん」

紬が大声で声をかけ、手を振ると憂も二人の方を見て、手を上げて小走りでやってきた。

憂「お久しぶりです、紬さん、梓ちゃん」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 00:50:45.87 ID:8ZHHyVdG0

梓「憂!どうして一週間も学校やすんだの?」

憂「心配かけてごめんね、梓ちゃん。お姉ちゃんが風邪引いちゃってずっと看病してたの。」

梓「さっき憂の家に行ったよ!唯先輩と会ったけど」

憂「お姉ちゃん大丈夫かな。今日の昼は熱がまだあって寝てたんだけど…」

梓「うん、ちょっぴり元気なかったけど、大丈夫そうだったよ。明後日には学校来れそうだって!」

憂「そうだね、そろそろ風邪なおってもいい頃だよね…あ、買い物長くなっちゃった。お姉ちゃん待ってるかも…それじゃあね、梓ちゃん、さようなら、紬さん」

紬「さようなら~」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:04:34.17 ID:8ZHHyVdG0

梓「安心しました!憂もずっと看病してたんですね」

紬「ええ…」

梓「それじゃあムギ先輩、また明日!一応、律先輩と澪先輩に憂ちゃんに会えたこと、伝えておいてくださいね!」

紬「さようなら~梓ちゃん」

二人はそこで別れた。梓の中で唯に対する疑惑は晴れたようだが、紬の中での疑惑は消えることはなかった

紬(なんで梓ちゃん気がつかないのかしら…憂ちゃんの体から…生臭い匂いがしてたって事に)

紬(早急に何が起こっているのか調べる必要があるわね…)


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:12:04.51 ID:8ZHHyVdG0

唯「美味しいね、このお肉のソテー」

憂「うん、お姉ちゃんのために腕によりをかけて作ってみた!」

唯「ありがとね、憂」

憂「うん」

憂「今日、梓ちゃんたち軽音部のメンバーが家に来たみたいだね」

唯「うん」

憂「梓ちゃんの方はフォローしておいたけど、紬さんは疑り深そうだね」

唯「さて、どうしようかな」

憂「……始末する?」

唯「憂は馬鹿だなー。HTTは駄目だよ」

憂「ごめんね、お姉ちゃん」

唯「…お姉ちゃんに任せて。憂は引き続き、×××を…」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:14:27.43 ID:8ZHHyVdG0

ぴぴぴぴぴ

紬は点滅する携帯電話を開いた。『平沢唯』からの着信だった。

紬「あら唯ちゃんこんばんわ。こんな時間にどうしたの?」

唯「今日はありがと、ムギちゃん。携帯の電池が復活したから、電話しちゃった。」

紬「気にしなくてもいいのよー。また放課後、お茶しましょ」

唯「うん。ところで気になったんだけどさー」

紬「なに?」

唯「ムギちゃんって何のために音楽やってんの?」

紬「…いきなりどうしたのよ、唯ちゃん」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:23:01.08 ID:8ZHHyVdG0

唯「私はね、ずっと考えてたんだ。みんなさ、楽しいからとか自分を表現したからとか、何か理由付けしてるじゃん?私はね、ただムギちゃんのお菓子を食べたくてバンドやってたんじゃないかーって時々思うんだ」

紬「そうね、唯ちゃんらしいわ。私もね、みんなと一緒の時間を共有したくてバンドをやってるの。そのためのティータイムじゃない。結局、練習熱心な澪ちゃんも梓ちゃんも、居場所が欲しいのよ。いや、他の人達もみんな、自分の居場所が欲しくて音楽をやってると思うのよ」

唯「うん、私もそう思う。けど私たちはどこにつけば、音楽をやめれるんだろう。」

紬「…」

唯「みんな居場所を求めていても、結局ひとつのところには落ち着けないんじゃないかって思うんだ。それが人間を苦しめる『悩み』であり、人生の『目的』なのかもしれないけどね。」

紬「今日の唯ちゃん、なんだか大人ね。風邪引いている間に何かあった?」

唯「…」

唯「私は音楽で気持ちを伝えるってのは不可能だし、本当の居場所を見つけるのも難しいと思うんだ」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:27:08.01 ID:8ZHHyVdG0

唯「これは澪ちゃんに聞こうと思ってたんだけど。」

唯「ムギちゃん、好きな詩人っているかな?」

紬「さあ。詩なんて小学校の時以来読んでないわ」

唯「私はね、最近好きな詩人ができたんだ」

唯「金子みすゞ」

唯「
   つもった雪

   上の雪
   さむかろな。
   つめたい月がさしていて。

   下の雪
   重かろな。
   何百人ものせていて。

   中の雪
   さみしかろな。
   空もじべたもみえないで。
   」

紬「金子みすゞなら小学校の国語の時間に教科書で読んだわ」

唯「この詩の意味、じっくり考えてみてね。」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:33:09.06 ID:8ZHHyVdG0

紬「…唯ちゃん、何かおかしい。こんなの私の知ってる唯ちゃんじゃない」

唯「それじゃあ私は誰?」

紬「憂ちゃん…でもないし…確かにあなたの中に唯ちゃんはいるのに、唯ちゃんじゃない」

唯「鋭いね、ムギちゃん。けどね、人間は進歩し続けるんだよ。性格や心なんて揮発性の記憶でしかない」

唯「私たちはその揮発性の記憶をつなぎとめ、連綿とした人格という幻想を生み出しているに過ぎないんだよ。なら、その数珠つなぎの私がどこかで途切れてしまったら…ムギちゃんは私を私だと認識できないんじゃないのかな?」

紬「ひどい理屈ね」

唯「けど、真実を知りたかったら、明日の放課後私の家に一人で来て。放課後ティータイムの練習が終わってからでもいいよ」

唯「それじゃあね、ムギちゃん」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:40:41.38 ID:8ZHHyVdG0

死後に残された琴吹紬の手記

私は金子みすゞの詩の意味を考えています。雪は『居場所』を示しているのでしょうか。

どの場所でも苦しまなくてはいけないということを金子みすゞはこの詩に託したのでしょうか。詩人の澪ちゃんに聞いてみたいです。

澪ちゃんの詩には、こういうテイストが足りない気がします。澪ちゃんのは美味しいけど、単調なショートケーキ。金子さんのは中に苦い抹茶味の餡が入ったお饅頭。

澪ちゃんのケーキも少し隠し味が効いていてもいいかもしれません。

あの赤い部屋から出て、私はすぐに家に帰りました。

あの赤い部屋に戻る気はないけれども、この真実は誰かに伝えなくてはいけないと思います。伝えるならHTTのメンバーでしょうか。


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:49:38.57 ID:8ZHHyVdG0

律「やったー放課後だー」

紬「ふふふ。律ちゃんはしゃぎすぎよ。」

律「ムギ、オヤツオヤツ」

澪「こら、律。はしたないぞ」

ぎーがたん

梓「失礼します、遅くなりました」

律「おー梓。うちらも今来たところだぜ」

梓「あの、みなさん、今日憂が学校に来てました」

律「おー本当か?なら唯の調子もいいんだなー。安心したぜ」

澪「そうだな」

紬「でも、さわ子先生がおやすみってのは気になるわね」

澪「たしかに、さわ子先生どうしたんだろー」

律「なーに、さわちゃんも風邪引いたんだろ」

梓「……」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 01:58:54.52 ID:8ZHHyVdG0

じゃんじゃんじゃーん

練習を終えて、けいおん部員たちは各々帰途につく。

そんな中、梓は今日の朝の憂との会話を思い出していた。

梓「あ、憂。おはよう」

憂「おはよう、梓ちゃん」

梓「憂、唯先輩の具合どう?」

憂「お姉ちゃんなら大丈夫だよ。昨日も元気そうに紬さんと電話してたし。携帯電話も治ったみたい。」

梓「憂の携帯は?」

憂「うん、今修理に出してる。代わりの携帯をもらってそれを使うことにしたよ。」

そういって憂は傷のない携帯電話を梓に見せた。

梓「よかったね。でも、紬さんと…」

憂「うん。なんだかお姉ちゃんも機嫌が良かったみたい」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:07:19.60 ID:8ZHHyVdG0

ぴーんぽん

紬「こんにちわーおじゃましまーす」

唯「どうぞどうぞ、上がって上がって」

紬「約束通り、一人できたわ。誰にも言ってないわ」

唯「うんうん」

紬「憂ちゃんはいないのかしら」

唯「うん、憂は買い物だよ」

紬「そう」

紬「で、真実って何かしら?」

唯「真実は往々にして言葉では表せないものだよ」

唯「ところでムギちゃん。お腹空いてる?」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:16:23.33 ID:8ZHHyVdG0

紬「ごめんなさい、今はお腹空いていないわ」

唯「残念だね。せっかく憂がムギちゃんのためにご飯を用意するって張り切っていたのに…」

そういうと唯は台所へ言った。今に一人取り残された紬はテーブルの上に置いてある一冊の本に気がついた。

『誰かがヨーゼフ・Kを中傷したに違いがなかった』

紬(フランツ・カフカ…唯ちゃんてこんな小説読むのかしら)

紬(唯ちゃんが…知的になってる…?)

唯「はい、ムギちゃん」

紬「はッ!」

いつの間にか後ろに唯が立っていた。手には二つのコップを持っていて、その中には薄く黄色がかった豆乳のような液体が入っていた。

そのコップを紬の前におき、唯は紬の前に座った。紬はその液体を飲もうか迷った。なぜならそれはとっても生臭かったから。


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:24:39.24 ID:EFJrkoM+0

おもろい


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:25:39.87 ID:8ZHHyVdG0

『誰かがヨーゼフ・Kを中傷したに違いがなかった』

紬「…これを飲めばいいのかしら」

唯「うん。これが真実だよ」

紬「ただの豆乳?って訳じゃなさそうね」

そのどろっとした液体はかなり生臭かった。そういえば紬はこれと同じ匂いを前に嗅いだことがある気がした。また、この匂いは胎児が生まれるときに胎盤から流れ出る血液の腐った匂いに似ていた。

紬(なんだか、この匂いを嗅いでいると…おかしな思念が…)

紬「と、ところで唯ちゃん。カフカの小説なんて読むのね。すごいわ…」

唯「ああ。誰がヨーゼフ・Kを中傷したんだろうね?ムギちゃんも読むの?カフカ」

紬「…『変身』くらいは…いや、ちょっと気分が悪いから少しここで横にならせてもらってもいいかしら」

そう言って紬はソファに横になろうとした。すると唯が顔を近づけてきた。

唯「ところでムギちゃん、A.ボスケッティには詳しい?サルトル的知識人をどう思う?ガリー・ガッティングのフーコ論は?ジャン・ボードリヤールやロジェ・ケンプのアンチフーコ論は?ディシプリンのメカニズムにおける国家管理について一言お願いします」

紬「…唯ちゃん、どうしたの…なんだか、今日の唯ちゃんは…頭が…ちょっとお手洗いを借りても…」

唯「余計なものは全部ここに吐き出していくといいよ」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:34:23.95 ID:8ZHHyVdG0

紬「おえええええええぇぇぇ」

紬はその場で嘔吐した。吐瀉物のつんざく匂いが充満し、紬は目に涙を浮かべていた。唯が側によってきて、その背中をさすった。

唯「よしよし、よしよし」

紬「唯ちゃん、ごめんね…」

唯「いいのいいの」

母のように優しく介抱する唯を見て、紬はだんだん手先の感覚が麻痺してきた。理由はわからなかった。

唯「ムギちゃん、これ、飲もう。気分が楽になるよ」

そういって差し出された豆乳もどきを紬はごくごくりと飲み込んだ。やはり生臭かったが、吐瀉物の匂いでいく分かは和らいでいる気がした。

唯「飲んじゃったね、ムギちゃん。これでお終いだよ」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:43:05.90 ID:8ZHHyVdG0

紬が飲み込んだ液体は人間の脳髄をミキサーでシェイクしたもので、その脳髄の主は

   「唯ちゃんはほっとけない子ね」
   
   「律ちゃんはなんだかんだいって部長ね」
   
   「澪ちゃんは部の大黒柱」
   
   「梓ちゃんは新しい風」
   
   「紬ちゃんは…」
   
「やめて!聞きたくないわ!これ誰!この声は…」

唯「さわちゃんだよ。昨日、さわちゃんが家に着て、地下室を見られちゃったからやむなく殺したんだよ」

唯「その時の脳髄が…これ」

唯「飲んじゃったね~ムギちゃん」

紬「何…これ…失恋…進学…就職…顧問…初めての担任…そして死…さわ子先生の見てきた世界の記憶…」

紬「赤い部屋…台所の床下から入れるのね…はしごを降りて、その地下には沢山の難しい本…そして通風口…そこに手足を拘束されて便器に座らされている唯ちゃん…それじゃあなたは…」


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:47:51.68 ID:tm7UmTUbO

唯は一冊でわかる文学理論読んだなwwwww


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:50:32.07 ID:8ZHHyVdG0

唯「わたしは唯だよ」

唯「ムギちゃん、私はあなたを殺さないよ。だって、ムギちゃんもきっと食人という快楽に目覚めるから…決して証拠は残しちゃ駄目だよ。あと、絶対に脳は食べてね。」

紬「わかったわ…これが真実…」

唯「さあ、次は誰を食べる?」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 02:54:54.59 ID:8ZHHyVdG0

紬の中に取り込まれた山中さわ子の記憶

「ちょっと唯ちゃーんいるのー」

唯ちゃんの家の鍵は空いていました。昨日、律ちゃんたちが尋ねたときはどうやら鍵がかかっていたそうなのに。

私は彼女たちが心配になりました。平沢さんのご両親は育児放棄で唯ちゃん達の面倒を一切見ないと聞いていたからです。高校生の女の子ふたりだけの生活なんて危なすぎます。

私はそーっと玄関の扉をあけて、中には入りました。靴はきれいに並べられているので、泥棒とかの心配はなくなりました。

家の奥でがたんごとんという音が響いていました。私は声をかけてみました。がたんごとんという音は止まず、唯ちゃんたちの返事もありませんでした。

私は家にそーっと上がりました。少しの罪悪感を感じても、教師として何が起きているのかを見なくてはいけません。音の方向は台所からでした。

台所の床が開いていました。「がたんごとん」という音はここから響いていました。私はそーっと鉄の階段を降りました。

六畳間ほどの小さな部屋がそこにありました。沢山の本が積まれていました。きっとご両親が読むのでしょう。

とても難しそうな本ばかりで、大学で題名だけ聞いたことがあるような本もありました。『精神現象学入門』は大学の講義で輪読しました。

さて、「がたんごとん」はやむことなく、さらに部屋の奥で響いていいました。通風口の格子は外されており、そこからなら人間一人程度なら這って進める気がしました。


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:06:03.00 ID:8ZHHyVdG0

恐怖を飲み込んで先に進むと、中に憂ちゃんがいました。大きな織り機のような者をいじっていました。

そこに肌色と赤色の肉が吊るされていました。私はとんでもないものを目撃してしまった気がしました。急いで後ろに下がりました。

けれども憂ちゃんに体をつかまれて、その部屋にドスンと引き込まれました。

「助けて!」私は叫びました。

「じー さーへん でいー ざーへ あん でいー じー じっひ にひと あんぜーへん むせん」

憂ちゃんが外国語で私に話しかけました。それはどこの国の言葉かわかりませんが、唾をためて吐きつけるような語調でした。

憂ちゃんがニヤニヤしながら私の首を絞めました。わたしはすぐに憂ちゃんの腕をパンパンと二回叩き、タップをしました。

憂ちゃんは絞めるのをやめてくれました。すると、憂ちゃんは私の体をその大きな機織り機のようなもので吊るし上げました。

そして一気に牛刀のようなもので私の首から下腹部まで切り開きました。血が噴水のように出るかと思ったら、そうではありませんでした。

確かに血は出ましたが、その機織り機に吸い上げられるようにして流れました。私の腹をまさぐるようにして、憂ちゃんは何かを探しているようでした。

「小腸」 憂ちゃんはそう言いました。

「胃」

次に薄ヨモギ色の大きな臓器が私にも見えるよう、台に引き出されました。それを憂ちゃんはメスで切開しました。どぽりとそこから今日の昼に食べた鮭弁当の鮭とひじきが出てきました。

私は嘔吐したくなりました。けれども体は動きませんでした。

記憶はそこでなくなりました。


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:11:30.40 ID:8ZHHyVdG0

じゃかじゃかじゃんじゃんじゃんじゃん

澪(ふう…やっぱりベース楽しいな)

澪(もう3時間もぶっ通しで練習しちゃった)

澪(休日の午前中から誰とも遊ばず一人でベースの練習する女子高生…)

澪(普通なのかなあ…なんか違う気がする)

澪(これからの予定もないし)

澪(気分転換がてら一人で散歩にでも行こうかな)

澪「いってきまーす」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:15:31.27 ID:8ZHHyVdG0

秋山澪は孤独が好きだった。元来大人しめの性格で人見知りするため、友達は多くなかったがそれで思い悩むことはあっても不自然に自分を曲げるような事はなかった。

澪(そもそも詩人なんてみんな孤独だしな。変に無理して自分を変えようとなんて、無駄だ無駄。自然体が一番なのさ)

澪(でも、こうやって河川敷を一人ぼっちで散歩して友達だとか孤独について考えているのはまさしくぼっちの思考…本心では律や唯のように誰とでも仲良くなれる明るくて面白い性格の方が幸せなんじゃないか…)

澪(こうやって一人殻に閉じこもって、ぼっち論を考えている私って…)

澪(まあ、いいや。天気もいいし、風も涼しい!絶好の散歩日和だぞー)

秋山澪は散歩の時常に手帳と鉛筆を持ち歩いていた。それは歩いている時にふと浮かんだフレーズを忘れぬように書きためておくため。詩人として当然の行為だった。

澪(うーん、やっぱ初夏の河川敷は気持ちいなー)

澪(おっ。カップル発見。盛ってますなー)

澪(男の子がキャッチボールしてる)

澪(ありゃ。前この橋の下にこんな大きなスプレーの落書きなんてなかったのに…普段なら批判してるけど、なんだかコンクリートに綺麗に色が浮かんでいてそんなに下品じゃないぞ。)

澪(それどころか趣さえある。うん、夜耳をすますと聞こえてくるバイクのどるるるうぶるぶるるーって後を引く音。あれに近い趣だ。非難すべきなのに、たまになら許しちゃえる。うん、そういうのって大事だよな)

澪(それにしても寂しいな…空はこんなに明るいのに)


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:23:40.98 ID:8ZHHyVdG0

澪「あ。ムギだ」

紬がコンクリートの階段にちょこんとすわって川を見つめているのを澪は見つけた。

澪(ムギんちってここら辺だったのかな…でもここら辺にそんな大きな豪邸なんてないし…案外ムギは橋の下の住人だったりして…なんか絵になるなあ)

澪は紬に近づくわけでも遠ざかるわけでもなく、普通に川のそばのランニングコースの端を歩いていた。

紬「あ。澪ちゃん」

澪「よお、ムギ。」

紬が遠くから声をかけると、澪も紬の方を向いて答えた。澪は紬の隣に座って、一緒に川を見た。


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:30:39.00 ID:8ZHHyVdG0

澪「ムギん家はこの近くなのか?」

紬「いや、少し遠いわ」

澪「ふ~ん。ここは私のお気に入りの散歩コースなんだ。この時期は地面も一面緑で、とってもぽわぽわしてるだろ」

紬「ええ。私もそう感じるわ。でもね、澪ちゃん。あなたのぽわぽわとわたしのぽわぽわは違うかもしれない」

澪「む」

紬はいつものようにおっとりした調子だったので、澪は黙って紬の話を聞くことにした。

紬「澪ちゃんはこのぽわぽわした感じを伝えたくて、音楽をやっているの?」

澪はいきなり紬からこんな根源的な問をされるとは想像だにしていなかった。なので答えに窮した。

澪(いっつも考えていることなのに…自分はなぜ音楽をやっているのか…なのに答えが出てこない…悔しい)


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:36:58.26 ID:8ZHHyVdG0

紬「私はね、自分の居場所が欲しくて軽音部に入ったの。それは少なからず澪ちゃんや律ちゃんにも言えることでしょ?」

紬「確かに私たちは十分に仲良くなった。憎みあうことも、決定的に対立することもない。平和な日常。だけれどもそれは私たちの停滞を意味していたのよ」

紬「はっきりいって、今のままじゃ私たちの音楽はこれ以上先にはすすめないわ」

紬はいつになく真剣にきっぱりと言い切った。澪は自分の歌詞がつまらないからだと言われているようで、少し頭にきていた。

澪「…ッ何だよ!だったらムギには何かアイディアがあるのか?」

澪も薄々感じていたことだった。音楽のマンネリ化。似たような歌詞、同じような演奏。

紬「あるわ」

澪「……」

紬「それは脳髄の開放よ」

澪「は?」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:43:43.40 ID:8ZHHyVdG0

紬「さっき、そう、近くの大学の路地裏で一人の老人とであった。彼はとても頭が良かったわ」

紬「私は彼の脳髄を食べることで、進歩したのよ」

紬「彼は言語学者だった。欧州言語やブリヤート語、中国語を習得し、さらに深い言語学の造形があった」

紬「そうね、言語が文字から自由になると、そこから音とその言葉の概念との関係が必然的に現出してくるのよ」

紬「この知識を生かせば、きっと素晴らしい音楽を奏でられるわ!!」

澪「お、おい。ムギ。冗談はよせよ…」

澪は嬉々として語る紬に寒気を覚えた。

紬「例えばドイツ語!frisch(新鮮な)frei(自由な)Freude(喜び)Freund(友人)!fr-という語頭が言葉に「活発な動きを示す外的な多様性において、自己の告げる精神性」を意味するの!」

紬「これらの知識を生かせばきっと素晴らしい音楽が完成するわ!私の頭の中でメロディが鳴り響く…」

紬「でね、澪ちゃん。あなたひとりだけ、どうしても理解したい人はいる?その人の脳髄を食べれば、その人の全てを知れるのよ…唯ちゃんが私に教えてくれた」

紬「脳こそ人間本質の凝集した臓器だってね」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:51:53.65 ID:8ZHHyVdG0

澪は紬の語る奇想天外な空想話にドン引きした。きっとドイツ語云々の話も、さっき図書館で仕入れてきたネタ話だろうと思った。

そして怖がりな自分を「脳髄」なんて禍々しい単語で驚かそうとしてきた紬の悪戯だろうと澪は結論づけた。

澪「あームギ。わかったよ。ちょっとびっくりした。けどな、怖くなる前にちょっと引いちゃったぞ」

紬「……」

紬「人間の肉は…やみつきになるわ…」


紬はカバンからビニール袋に入った奇妙な色の肉を取り出した。それは赤黒い液体でヌメっていた。

澪「何これ?」ブルブル

紬「肝臓」

澪「……」

紬「このビニール袋に三つ、入っているわ。他の部分はあんまりにも量が多いから、唯ちゃんに始末してもらった。一個上げる」

紬「澪ちゃんも食べてみて…HTTのメンバーなら気がつくはずよ。私たちは食人という聖餐を経て、次なる音楽を目指さなくてはいけないってことに…」


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 03:58:55.26 ID:8ZHHyVdG0

澪は走って逃げた。紬はいつも通りの声で、いつも通りの態度だったけれども、あまりにも内容がおかしかった。

澪「はあ、はあ。ちくしょう。ムギの奴、頭おかしくなっちゃったのかな…」

澪「大分来たな…月曜日からどうしよう…ムギに会っても普通に接することができないぞ…」

澪「あ!律だ」

澪は商店街の真ん中で汗だくで息をついている自分がどんなに目立っているかに気がついて恥ずかしくなった。

律は笑いながら澪の側によってきた。

律「よっ!澪。そんなに走ってどうしたんだ?こわーいお化けでも見たのか?」

澪「ム、ム、ムギが、ムギがおかしく…」

律「あちゃー。澪、もうムギにであったのか。」

澪「へ?」

律「私もムギとさっきそこのハンバーガー屋でしゃべってたんだ。ムギがなんか難しい話してきてよー」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:03:56.35 ID:8ZHHyVdG0

律「ちょっと、私、ムギと音楽性の違いを感じて喧嘩しちゃった」

律はあっけらかんと笑って答えた。二人はそのハンバーガー屋に入って話を続けた。

澪「いや、の、脳がなんとかこんとか…」

律「あせるなよ、澪。わたしは別にムギ達のやってることが悪いことだと思っちゃいない」

律「そーいうやり方もミュージッシャンとしてありかなーって思う」

律「そりゃ殺人はやりすぎだし、食人なんてちょっと想像できないよな」

律「でもいいだろ。私がもし、ムギ達の食人行為を止めようとするなら、ムギ達だって私たちに食人行為を勧める権利があるはずだ。」

澪「おい、律。それは違うんじゃないのか」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:14:30.62 ID:8ZHHyVdG0

澪は平然と食人、その前に殺人行為を認めている律に反論した。

澪「人殺しはヤバイだろ」

律「ああ。ついさっきまでわたしもそう思ってた。けどさ、あのムギがあんなに真剣になってるんだ。わたしは協力したり、同じことはできなくても、それを常識に照らし合わせて悪だって否定は出来ないよ」

律「きっと、本当に悪いことならわたしじゃなくてもっと大きな力が働いてムギを止めてくれるさ…」

澪「律…」

律「ウ~ン、これで放課後ティータイムも音楽性の違いにより解散、かな…部長としてちょっと寂しい最後だなあ」

やけにさっぱりしている律を見て、澪は少しだけ自分も吹っ切れた気がした。

窓から見える空は相変わらずスカッ晴れだった。HTTはここでお終いでも、律とならまた新しいバンドを作れる気がした。きっと、それが自分の音楽の土台であり、進歩になるのだろう。

澪「律、これからもよろしくな」

律「ああ」

澪「…ところで梓はどうするんだろ」


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:24:26.79 ID:8ZHHyVdG0

紬「唯ちゃん!律ちゃんと澪ちゃんが食べてくれないわ」

唯「ふうん」

紬「このままじゃHTTは崩壊よ!どうするの?わたしの求めていた新しい音楽が…」

紬「わたしのたどり着かんとする居場所が…」

唯「ムギちゃんは怖がり屋だね。」

唯「律ちゃんがムギちゃんを否定した。澪ちゃんがムギちゃんを拒絶した」

唯「よく考えれば当たり前のことだよ、ムギちゃん」

紬「でもっ、でもっ」

唯「これでHTTはお終いだね」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:33:15.70 ID:8ZHHyVdG0

紬「いやよ…そんなの…」

紬「唯ちゃん!唯ちゃんはそれでもいいの?私たちの一番大切な居場所よ!」

唯「……わたしは食人が快楽なのであって、脳髄から記憶を読むのはあくまでおまけに過ぎないんだよ」

そう言って生のままの人間の腕をそのままムシャムシャ食べる唯に紬は寒気を覚えた。

唯「憂が一生懸命、外で人間を捕まえて、この地下室のわたしのところまで運んでくれる…一日一人、二人のペースで食べるから、最近ちょっと太っちゃった。」

紬「え…だって、脳髄を食べれっていったのは唯ちゃん…」

紬は唯から突き放され、がっくりと膝を落とした。

便器の上で、唯はかつて想像出来ないくらいに巨大に成長していた。服はもうすでに剥ぎ取られ、グロテスクな脂肪の塊が波打つように腹についていた。

すでに唯は並の相撲取りよりも太っていた。


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:42:07.80 ID:8ZHHyVdG0

紬「なら…わたしにだって手はあるわ」

唯「何?」

紬「このことを警察に告発してやる……HTTを失った私にもう居場所なんてないわ」

唯「まあまあ、ムギちゃん落ち着いて。いまさら警察なんて怖くないよ」

唯「ムギちゃんにとっては何もかも怖いんだろうけど」

唯「私はもう何も怖くないよ」

唯「ういーアイス―。とびっきりのやつお願いー」

そういうと、部屋の外から憂がドロドロに溶けた脳髄をもってきた。皿に乗っかったそれは腐っているのか、生前の張りを感じさせなかった。

唯「これ、あずにゃん」

紬「……」


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:45:52.32 ID:8ZHHyVdG0

唯「そうそうにあずにゃんは殺しちゃった。だって私を止めようとするんだもん」

唯「泣きながら、こんな醜くなった私にすがりついて、食人行為を止めさせようとするんだよ」

唯「そうして止めてください、止めて下さいって言いながら、この手足を縛りつけている鎖を外そうとするんだよ」

唯「なんで?なんで私のために泣いてくれるの?」

唯「ムギちゃんもたくさんの人間の記憶を得たね。その中に、ムギちゃんのために泣いてくれる人はいた?」

唯「音楽なんてはっきり言ってどうでもいい。だって言ったでしょ。わたしはムギちゃんのお菓子を食べるためだけに部室に行ってたって。」

唯「私にとって一番大切なのは、自分と深いところで繋がろうとしてくれている人と繋がること」

唯「私にとってその人はきっとあずにゃんだったんだ」

唯「私はあずにゃんのこれを食べて、逝くよ」

唯「膨大な数学的世界も、哲学の抽象的な概念も、物理学の数式も、生物の神秘も、文学の不完全性も、芸術の未熟さも…すべて私をここに押し上げてくれる助力になったよ。けど、それらは本質じゃあない」

唯「ムギちゃんも気がついたでしょ」

唯「自分の思想なんて、あんまり認めてもらえないことくらい」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:49:34.18 ID:8ZHHyVdG0

そう語る唯の肉に押しつぶされた目からは涙が流れていた。紬はぷるぷると体を震わせて、じっと血と汚物にまみれた床を眺めていた。唯の外見はたいそう醜いものになっていた。

唯「でもね、それでいいんだよ。食人思想はあずにゃんに認めてもらえなかった。けど、それでいいんだ」

唯「憂、ムギちゃんをよろしく。あと、律ちゃんと澪ちゃんに全てを言葉で伝えて謝っておいて。じゃあね、憂」

憂「ばいばい、お姉ちゃん」

唯は梓の脳を啜るようにして食べた。食べ終わるとだらんと四肢をのばして、ぶひっと放屁した。ガスが部屋中に充満して、紬は憂に連れられて部屋を出た。

唯の死体はとてつもなく臭くて、蠅でさえ近寄らないほどだった。


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 04:53:46.44 ID:8ZHHyVdG0

死後に残された琴吹紬の手記

全て終わりました。唯ちゃんは頭の中でどんな梓ちゃんを見たのでしょうか?

唯ちゃんは自分を否定されてなお、梓ちゃんを受け入れられるのでしょうか?わたしには出来ません。

平沢家を出てから、一度も律ちゃんと澪ちゃんに会う勇気は湧きませんでした。


数日前、和ちゃんがわたしの所に会いに来ました。和ちゃんは「唯に全部聞いたから」といってわたしを慰めてくれました。

和ちゃんの話しぶりからすると、どうやら唯ちゃんはまだ生きているらしいです。でも一体なぜ…?あそこで死んだのは絶対に唯ちゃんです

和ちゃんは「唯からのプレゼント」といって、包装された箱を一つくれました。わたしはその中に誰かの脳髄が入っている気がしてなりませんでした。

時期はずれのクリスマス用の包装をされた箱はずっと押し入れの中に入っています。

fin


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 05:00:33.75 ID:8ZHHyVdG0

わたくしのオナ二ィ作品をご静聴いただきありがとうございます

まさしくオナニィだったわけで、読み終えた皆様方もずいぶんと時間の無駄をなされたのではないでしょうか

この場を借りてお詫び申し上げます

これから三時間の睡眠をとり、今度は本当のオナニィに励もうと思います

それでは皆様、さようなら


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 05:09:22.29 ID:71TzEb9DO

深い


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 05:20:35.92 ID:C+T4lFLG0

てっつがくぅ!


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 06:50:58.62 ID:y6EryTdEO

ママー怖いよー


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 07:15:28.98 ID:GiITp3ytI

なんだこれ……なんだこれ……



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  1. 名前:名無しの中毒者◆-[saga] 投稿日:2011/10/12(水) 18:17:15.00 ID:SSJUNKIE597
  2. 面白かったですよ!
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