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娘「お前は今日から私の家来なの!」

このエントリーをはてなブックマークに追加 コメント (2) | カテゴリ: その他 | 更新日: 2011/10/27 19:30
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:16:40.17 ID:b1i+Xlzr0


爺「なんじゃ?わしに何ぞ用か?」

鬼「お前を食う。」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:17:37.26 ID:b1i+Xlzr0


爺「ほぉ・・・初めて見たの。お前さん鬼か?」

鬼「そうじゃ、お前を食う。」

爺「まだ子供ではないか。帰れ帰れ。」

鬼「子供じゃろうが鬼ぞ!わしが怖くないのか!?」

爺「婆さんのほうが怖いわ。」

鬼「じゃあ婆さんから食う。だからわしの方が怖いぞ。」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:19:06.61 ID:b1i+Xlzr0


爺「タワケ!婆さんはとっくにおっ死んどるわ。だから婆さんの方が怖い。」

鬼「生きておれば食っておる!だからわしの方が怖い!」

爺「譲らん奴じゃの・・・ならどっちが怖いか、一勝負じゃ。」

鬼「おお、何を競うのじゃ!?」

爺「簡単じゃ。今から先にまばたきをした方が負けじゃ。」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:22:26.31 ID:b1i+Xlzr0


爺「ほっほっほ・・・他愛ない。だがこれで決まったわ。婆さんの方が怖い。」

鬼「仕方がない、婆さんの方が怖かった。だが、お前は食う。」

爺「わしなんぞ食ってもうまくないぞ。食えるところも少なかろう。」

鬼「だが腹の足しにはなる。わしは腹がへっとる。」

爺「ならばまた勝負じゃ。今から先に『わかった』と言った者が負けじゃ。よいか?」

鬼「わかった。」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:29:43.91 ID:b1i+Xlzr0


鬼「ぐぬぬ・・・」

娘「おじじ!今晩泊めてくれ!」

爺「ここへは来てはいかんと言っておるじゃろう。」

鬼「・・・仕方がない。お前は食わん。こいつを食う。」

爺「ならんぞ。お前は負けたのだから帰れ。」

鬼「食ったら帰る。」

娘「この子はだーれ?」

爺「鬼じゃ。」

鬼「鬼ぞ。」

娘「なんと!」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:37:09.07 ID:b1i+Xlzr0


爺「なんでまた来た?」

娘「新しい母さまが、また私のことを苛めるの。」

爺「また悪さをして叱られたのか?」

娘「掃除も水汲みもちゃんとやったの!なのに、お前に食わせる飯はないというの。」

爺「お父には相談したのか?」

娘「父さまはまだ戻って来ないの。」

鬼「・・・腹が減った。」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:42:15.96 ID:b1i+Xlzr0


娘「だから、おじじ、私を泊めて欲しいの。もうあの家の子はやめるの。」

爺「わしにもし孫がおったら、こんな感じなのかのう・・・」

娘「あ!おじじ、また干し芋食べてもいーい?」

爺「ああ、ええぞ。」

娘「この子にもあげてもいーい?お腹空かせてかわいそーなの。」

爺「・・・まあ、ええじゃろ。そうじゃ、お前ら勝負をしてみせろ。」

鬼「受けて立つぞ。こいつに負けることなぞ何一つないと思うがの。」

爺「じゃあ、干し芋は縁側に置いとるから、食えるだけ持ってこい。」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:47:08.97 ID:b1i+Xlzr0


鬼「なんじゃ?そんだけしか食えんのかお前は。」

娘「あんまり取ったらおじじが食べる分がなくなっちゃうの。」

爺「持ってきたか?食い切れんほど取ってはおるまいの?」

鬼「わしの勝ちは火を見るより明らかじゃ。食って証明するまでもなかろ?」

爺「誰が大食いの勝負じゃと言うた?早食いの勝負じゃ。」

鬼「は?」

爺「持っとるぶん全部、先に食い切った者の勝ちじゃ。途中で水を飲んではならんぞ。」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:52:37.84 ID:b1i+Xlzr0


爺「ほっほっほ・・・惜しかったのう。」

鬼「きたないぞ。」

爺「ふん、これに懲りたらホイホイ勝負に乗らんことじゃな。」

鬼「なんじゃと?」

爺「人間は非力だが小賢しい。内容も聞かずに勝負を受けるな。お前のためじゃ。」

鬼「むう・・・」

爺「もし、今の勝負に命を賭けておったら、お前はたかが芋の早食いで死んだのだぞ?」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 20:57:02.88 ID:b1i+Xlzr0


鬼「むう・・・そういえば何を掛けておったのじゃ?」

爺「お前の命だと言ったら、お前は大人しく殺されるつもりかえ?」

鬼「うぬぬ・・・だが、勝った者には逆らわん。さっさと殺せ。」

爺「まあ、勝ったのはわしではないしのう。その子に聞いてみたらどうじゃ?」

鬼「何が望みじゃ?」

娘「今決めてもいーの?」

鬼「今回だけじゃ。聞かずに勝負したわしもアホじゃったからな。」

娘「今日からお前は私の家来なの!」

鬼「なんと!」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:02:52.76 ID:b1i+Xlzr0


爺「・・・それで、本当に帰る気はないのか。」

娘「おじじの家の子になるの。ぶたれるのも、火箸ももういやなの。」

爺「なんじゃと?ちょっと袖をめくって見せい。」

娘「・・・・・」

爺「これはひどい。」

鬼「なんじゃ?そんなもので・・・見よ!わしの方が傷は多いぞ!」

娘「むー!私は腕より背中のほうが凄いの!ほら!」

鬼「確かにの。じゃが、毛で見えにくいがホレ、わしは頭にもたくさん傷が・・・」

爺「比べんでもええ!」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:08:04.50 ID:b1i+Xlzr0


爺「まあ、仕方がないかの・・・継母が頭を冷やすまでは置いてやるか・・・」

娘「ありがとうなの!」

爺「だが、いつまでもは置いてやらんぞ。それに自分の事は自分でするんじゃ。よいな?」

娘「わかったの!私、いっぱいいっぱいおじじのお手伝いするの!」

爺「自分のことだけでいいわい。だが、わしはただの炭焼きのジジイじゃ。贅沢はできんぞ。」

娘「大丈夫なの!私、食べられる草もたくさんたくさん知ってるの。」

爺「不憫な奴じゃのう・・・」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:12:21.73 ID:b1i+Xlzr0


爺「次はお前じゃな。」

鬼「わしがどうかしたのか?」

爺「このあたりに鬼は住んでおらんかったはずじゃ。少なくともわしは聞いたことがない。」

鬼「だから来たのじゃ。他のもんが住んどる山には住めんからな。」

爺「流れてきたのか?一人でか?その年でようやるわ。」

鬼「兄者と一緒に来た。手分けして住めそうな場所を探すために一旦別れたのじゃ。」

爺「この山に住むつもりなのか?」

鬼「住んではいかんのか?」

爺「お前らは人を食うからだめじゃ。」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:18:48.74 ID:b1i+Xlzr0


鬼「別に山はお前のもんではなかろ。勝手に住むわい。」

爺「ならわしと知恵比べじゃ。わしが勝ったら人は食わんと約束しろ。」

鬼「その手には乗らんわい。もうお前の勝負は受けてやらん。」

爺「む!?入れ知恵したのが裏目に出てしもうたの・・・」

娘「お前は私の家来だから、この山で人を食べてはだめなの。」

鬼「なんじゃと!?」

爺「ほっほっほ・・・上様の言う事に逆らってはいかんのう。」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:23:38.96 ID:b1i+Xlzr0


鬼「付き合っていられんわ。わしは帰る。」

爺「どこへじゃ?」

鬼「昨日見つけた洞穴じゃ。兄者との待ち合わせもある。」

娘「じゃあまた明日いらっしゃいなの。力自慢にお手伝いしてもらうの。」

爺「ほっほっほ・・・上様にはかないませんなあ。」

娘「やくそくなのー!」

鬼「・・・干し芋じゃ。」

爺「芋がどうした?」

鬼「しばらく人を食うのはやめる。そのかわり芋を用意しろ。」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:26:36.68 ID:b1i+Xlzr0


爺「さて、寝床は婆さんの使っておったのでよいかの。」

娘「おふとん?」

爺「そうじゃよ。干しとらんから、ちぃとホコリくさいかもしらんが我慢するのじゃ。」

娘「お布団使ってもいーの?」

爺「なんじゃ?布団も取り上げられとったのか?ええぞ。婆さんのをやるわ。」

娘「うーん・・・やっぱりいらないの。」

爺「妙な遠慮をしよるのう。」

娘「おじじと一緒に寝るの!」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:31:09.64 ID:b1i+Xlzr0


鬼「おほん!う、うえさま?今日は何を御所望か?」

娘「お馬はもう飽きたの。今日は抱っこ。」

鬼「こうすればいいのか・・・?」

娘「痛いの!もう少し力を抜くの!」

鬼「すまぬ・・・・・・あ?うぐ・・・!?」

娘「そのまま頭を優しくなでなで・・・・・ぎゃんっ!!」


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:34:28.06 ID:b1i+Xlzr0


娘「いきなり突き飛ばすなんてひどいの!柱にぶつかるところ・・・・?」

鬼「フゥー・・・フゥー・・・」

娘「どうしたの?どこか痛いの?」

鬼「寄るでない!」

娘「ひっ!」

鬼「もう少しで、お前にかぶりつくところだった。」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:41:13.06 ID:b1i+Xlzr0


娘「私を食べるの?」

鬼「食いはせん。食いはせんが・・・今日はもう帰る。」

娘「あ、待つの!食べたくなったのを我慢してるの?」

鬼「そうじゃ。このままでは本当に食い付いてしまう。」

娘「少しだけなら食べてもいいから。もう少し一緒に居てほしいの。」

鬼「馬鹿を言うでない!血がいっぱい出るぞ!?」

娘「今日はおじじが炭を卸しに行っているの。おじじが戻るまで待ってて欲しいの。」

鬼「お前は一人になるのが怖いのじゃな。」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:46:26.45 ID:b1i+Xlzr0


爺「それで食べるフリしてずっと噛みついておったのか。」

娘「痛かったけど、食べるのは我慢しててくれたの。」

爺「あやつも律儀なやつじゃのう。」

娘「約束はちゃんと守るの。」

爺「それだけではあるまい。あやつはお前に情がわいとる。」

娘「なんと!」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:50:48.72 ID:b1i+Xlzr0


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

娘「では行ってきます。お爺さん。」

爺「すまんのう。怪我の治りが遅い。つくづく自分がジジイじゃと実感するわい。」

鬼「もう歳じゃ。なんて言える歳はとっくに通り越しとるからな。」

爺「余計なお世話じゃ。お前が卸しに行ければ一番いいんじゃがのう。」

鬼「わしも途中まで運ぼうと思っておったがの。上様が、騒ぎになるといかん。だと。」

娘「大丈夫ですよ。私はこう見えて丈夫なんです。すぐに戻ってきますから。」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 21:59:18.98 ID:b1i+Xlzr0


爺「やれやれ、行ったか?」

鬼「そうじゃの。で、ホントのところはどうなんじゃ?その足。」

爺「知っておったのか。」

鬼「当たり前じゃ、わざとらしく杖など突きおってからに。もとより怪我などしておらんのじゃろ?」

爺「ああそうじゃ。家族の良さを思い出してしまっての・・・つい長居させてしまっておるからの。」

鬼「あやつはいつまでもここに居たいと思うておるのではないか?それは悪い事かの?」

爺「わしとていつまでもは生きてはおれん。少しずつでも人中へ慣れさせておかねばならん。」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:06:03.00 ID:b1i+Xlzr0


鬼「継母のところへ返すつもりか?」

爺「まあ、そういう事じゃ。もう子供ではないし。継母も無碍には出来まいよ。」

鬼「あやつが帰らんと言ったらどうするのじゃ?」

爺「なぜそんなことを聞く?ははぁ・・・お前はあやつと一緒に居たいのか?」

鬼「ち、違うわい。肩身の狭い家来の身分から解放されるのが待ち遠しいだけじゃ。」

爺「自分から居なくなれば良いではないか。兄から周りの山の様子は聞いておるのじゃろ?」

鬼「ふん、そんなかでもこの山が一番住み易いだけのことじゃ。」

爺「そういう事にしておくかのう。」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:09:38.75 ID:b1i+Xlzr0


鬼「・・・・・」

爺「・・・・・」

娘「お洗濯終りましたよ。今日は朝から何をしているんですか?」

爺「こいつは意外と手先が器用でな。竹細工を教えとる。」

鬼「・・・こうか?」

爺「そうじゃ・・・こっちに編み込んで・・・ここで揃えて切るのじゃ。」

娘「何でも作ってしまうんですね。」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:12:55.93 ID:b1i+Xlzr0


爺「次の卸しにはわしが行くからの。」

娘「無理はしなくても、私が行ってきますよ。」

爺「いや、ちょっと他に用事があって寄らねばならんところがある。なので少し遅くなるかもしれん。」

娘「・・・わかりました。」

爺「心配するでない。晩までには戻ってくるわい。」

娘「はい。」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:17:14.26 ID:b1i+Xlzr0


爺「遅くなったが、今戻った。」

娘「おかえりなさい。」

爺「あのな・・・」

娘「はい。どうかしましたか?」

爺「うむ・・・ちょっと話がある。まあ座りなさい。」

娘「はい。」

爺「実はの・・・お前のお母に会ってきた。」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:20:34.46 ID:b1i+Xlzr0


爺「もっと早くこうするべきじゃったが、ついついわしも流されてしまってな。」

娘「私はここに居てはいけない・・・という事ですか?」

爺「そういう事だ。いつまでも置いてはやれん。と、最初に言ったはずじゃ。」

娘「私は・・・何か悪い事をしてしまいましたか?」

爺「違うぞ。お前を嫌ったり、お前が邪魔になったのではない。」

娘「ではどうして!?」

爺「わしがここへ隠居してから久しい。お前まで付き合う事はない。今一度、人の中へ戻るのだ。」

娘「でも・・・」

爺「わしが死んだ後はどうするのじゃ?」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:23:57.93 ID:b1i+Xlzr0


爺「お前は利口者じゃ、そのことが頭をよぎったことがないわけではあるまい?」

娘「・・・・・」

爺「おそらくはすぐさま蓋をして奥へ奥へしまい込み。先送りにしてきたのじゃろう?」

娘「・・・はい。」

爺「もうそれも終わりじゃ、しなくともよい。わしの生き死にに関係なく、お前はお前のために生きていけ。」

娘「お爺さんは・・・いえ、それがお爺さんの望みなのですね?」

爺「そうじゃのう。わしはお前のことを本当の孫のように思うておる。」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:28:05.47 ID:b1i+Xlzr0


爺「わしらは子供に恵まれなんだが、お前はわしの孫じゃ。」

娘「!」

爺「短い間ではあったが・・・いや、長い間じゃの。孫ができて本当に幸せじゃった。」

娘「お爺・・ちゃん・・・」

爺「今度は孫にも幸せになってほしい。そう思うのはおかしいかの?」

爺「わしの独りよがりかもしらん。だとするなら、孝行するつもりで受け取ってはもらえんか?」

娘「わかりました。私、家に戻ります。」

爺「明後日に発つと言うてある。短い間じゃがあとちょっとだけ老いぼれにつきあってくれるかや?」

娘「はい。お爺ちゃん。」

爺「ほっほっほ・・・家族とは良い物じゃのう。」


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:31:53.24 ID:b1i+Xlzr0


爺「お前さんにゃ悪い事をしたかもしらんのう。」

鬼「構わんよ。わしがお前でも同じことをしたかもしらんわ。」

爺「何か言うておったか?」

鬼「いや、挨拶はしておらん。結局会わなんだ。」

爺「どうしてじゃ?」

鬼「辛くなると思うてな。」

爺「ほっほっほ・・・どちらがかは聞かずにおいてやろうかのう。」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:35:58.11 ID:b1i+Xlzr0


爺「お前さん。酒は飲めるのか?」

鬼「飲んだことはないが、おそらくは飲めるじゃろう。しかし、なぜじゃ?」

爺「なに、一緒に飲もうかと思ってな。どうじゃ?ひとつ飲み比べというのは?」

鬼「ほほお、面白い。受けて立つぞ。」

爺「そうこなくてはの。」

鬼「して、何を掛けての勝負だ?」

爺「そうじゃな――――」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:39:39.10 ID:b1i+Xlzr0


かあさまえ

とつぜん●のおてがみ おどろきのこととおもいます

かあさまがすすめてくだ●すった ほうこうさきで

わたし●はだんなさまにきにいられ いま よみかきをならっています

まだひらがなしかつかえませんが こうしておてがみをかけるようになりました

おくさまはとてもきびしいかたですが いたらないわたし●へのごしどうでしょう

ながらくいえでしていたわたし●を またむかえいれてくださり かんしゃしております

これまでのおやふこうのつぐないを これからすこしずつしていくしょぞんです

おしょうがつにはおひまをいただいてかえれるとおもいます

それから すみやきのおじいさんはげんきにしていますか


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:43:30.30 ID:b1i+Xlzr0


母より

家の方はあまり変わりはありませんが、お父様が戻ってこられました。

本来ならば家族そろって新年を迎えたいところですが、

お父様は重い病を患っておられます。

お前にうつるといけないとおっしゃっていますので、今年は戻るべきではありません。

また、お父様のお薬はとても高価なものです、お前に負担を掛けたくないのですが、

少し仕事を増やし、賃金を上げてもらう事はできませんか。

お爺さんの件ですが、あの山には恐ろしい鬼が居て、お爺さんは鬼にたぶらかされていたようです。

お爺さんが鬼をかばったので鬼は逃げてしまいましたが、お爺さんは死にました。


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:47:39.48 ID:b1i+Xlzr0


母上様へ

その節は御心配をおかけしたことと思います。

お爺さんの訃報を聞き、我を失っておりました。

悲しみに暮れていた私でしたが、月日の流れはそのような思いも流し去ってくれました。

最近、修行に出ていた若旦那様が戻ってこられました。

若旦那様は私を見染てくださり、ゆくゆくは妻に迎えたいとおっしゃってくれています。

そのようなこともあり、今ではもう落ち着いております。

旦那様も私のことを気にかけてくださり、先日から琴と歌のお稽古を受けさせていただいております。

奥さまは私の出自からか、あまり良い顔をしてはくれませんが、

旦那様と若旦那様が橋渡しをしてくださるそうで、少しずつ打ち解けていけたらと思っています。

未だ正式に婚儀を決めたわけではありませんが、母上様には一番にお伝えしたく、筆をとった次第です。

お正月には長めのお休みを頂けるそうなので、戻って詳しいお話をしたいと思います。


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 22:52:22.50 ID:b1i+Xlzr0


母より

お父様の具合がいっそう悪くなりました。戻ってきてはなりません。

治療には貴重なお薬が必要になるとのことですので、

結納に先だっていくらか工面してもらえるよう、お前から頼んではもらえませんか。


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 23:29:34.71 ID:b1i+Xlzr0


母上様へ

お許しください。私は汚れております。

祝言の日取りを決めた翌日、稽古の帰り道で暴漢に穢されました。

若旦那様は気にすることはないとおっしゃってくださいましたが、

あの日以来、私は男の方が怖くなり、一緒に生活できるとはとても思えません。

旦那様のご厚意で今でも住まわせてもらっていますが、

今では仕事も満足に手につかず、部屋に籠ってばかりの毎日です。

このままご迷惑になってもいけないので、お許しを頂いて奉公を終えるつもりです。

今一度、家族皆で支え合って暮らして●●●いきたいです。私は帰ります。


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 23:34:58.13 ID:b1i+Xlzr0


母より

稼げなくなったお前にもう用はありません。

お父様の件はすべて狂言です。

兼ねてから付き合いのある家に後妻に行くことにしました。

どこへなりと好きなところへ行き、誰にも迷惑をかけずに死ね。


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 23:40:29.98 ID:b1i+Xlzr0


女「ハァ・・・ハァ・・・」

-おい、見つかったか?-

-こっちには来てないぞ-

女(一体どうして・・・?)

-だが、本当に持っているのか?-

-ああ、間違いない。奥さんが言ってたからな-

女(奥様が・・・?)

-大旦那は祝儀をたんまり用意していたそうだ-

-それを手切れ金として渡したってわけか-

-全部じゃあるめえがな-


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 23:45:52.25 ID:b1i+Xlzr0


-しかし、奥さんも相当人が悪いな-

-それを言うなら大旦那が良すぎじゃねえのか?-

-知らねえんだよ。奥さんが襲うように頼んだってことをな-

女「!!」

-居たぞ!追いかけろ!-

-待ちやがれ!-

女「ハァ・・・ハァ・・・」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 23:51:27.89 ID:b1i+Xlzr0


-「手こずらせやがって。」

女「・・・お金は差し上げます。ですから、見逃してはくれませんか?」

-「説明しなくてもわかるだろ?そういうわけにはいかねえ事くらいよお。」

女「誰にも言うつもりはありません。どの道私は死ぬつもりです・・・」

-「だったら今すぐ手伝ってやるよ。」

女「あの山で・・・お爺ちゃんと一緒に眠りたいのです。」

-どうする?-

-ここだと隠すのが面倒だし、山なら鬼の仕業と噂を流せば・・・-

-運ぶのも面倒だしな、山まで自分で歩かせてから・・・そこで・・・-

-「よし、じゃあ山まで送って行ってやる。逃げようなんて思うなよ?」


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/24(土) 23:55:25.12 ID:b1i+Xlzr0


女「このあたりで結構です。ありがとうございました。」

-「礼には及ばねえよ。だが、ちょっと気が変わった。」

女「何を!?おやめください!」

-「遠慮すんなよ!死ぬ前に思い出の一つでも作ってやろうってんだよ。」

-「あーあ、好きだねお前も。後で代われよ?」

女「ひっ!」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:00:25.85 ID:wYeojKr+0


女(・・・ここはどこ?・・・私、どうなったの?)

鬼「お怪我は有りませんかな?上様。」

女「・・・あ!」

鬼「御無沙汰しておりました。お許しくだされ。」

女「うっ・・・うっ・・・」

鬼「狼藉者は成敗いたしましたゆえ。ご安心召されよ。」

女「うわぁぁああん!」


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:04:45.15 ID:wYeojKr+0


鬼「落ち着いたか?」

女「ええ、ありがとう。ここは・・・お爺さんの小屋、ですね。」

鬼「そうじゃ。もう、ところどころ腐っとるがな。・・・で、一体何があった?」

女「いろいろなことがありました。」

鬼「そうじゃろうな。」

女「聞いてくれますか?」

鬼「言うのを待っておるのじゃが。」


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:08:06.81 ID:wYeojKr+0


鬼「・・・そうか。いろいろとあったのだな。」

女「本当に・・・」

鬼「わしはじじい以外の人間の事はよう知らん。」

女「そう?・・・ですね。」

鬼「それにお前の心が読めるわけでもないし、わかると自惚れておるわけでもない。」

女「・・・・・?」

鬼「その上で言わせてもらう・・・・・・大変だったな。」

女「!」

鬼「ああ、これ、泣くな。」


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:11:52.37 ID:wYeojKr+0


女「ずっとこの山に居たのですか?」

鬼「ずっとではないの。3つの山を時節ごとに回っておる。居合わせたのはたまたまじゃ。」

女「私が見えていたのですか?」

鬼「わしの目は一里先だろうと見通せるからの。」

女「なぜ、3つもの山を?」

鬼「魚が欲しければ、魚が獲れる川へ行くのが当然じゃろう?」

女「ええ、そうですね。」

鬼「とある御方の言いつけでな。この山では人を食ってはならんのじゃよ。」

女「なっ!?・・・では他のところでは・・・」

鬼「たまには、な。」

女「でも、まだ守ってくれているのですね。」

鬼「優秀な家来であろ?」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:15:52.83 ID:wYeojKr+0


女「私は死ぬつもりでこの山へ来ました。」

鬼「そうか。」

女「ですが、最後にあなたに会えてよかった。」

鬼「まだ死ぬ気でおるのか。」

女「はい。私はもう、疲れ切ってしまいました。」

鬼「んなら、その前にわしを家来から解放しろ。」

女「一つだけお願いを聞いてもらってからでもいいですか?」

鬼「なんじゃ?」

女「・・・抱っこ。」


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:20:10.52 ID:wYeojKr+0


女「・・・もう、結構です。ありがとう。」

鬼「気が済んだか?」

女「はい。もう家来でも主人でもありません。これからはご自分の好きなようになさってください。」

鬼「では、そうさせてもらうとするかの。」

女「・・・帰らないのですか?」

鬼「お前を食う。」

女「なんと!」


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:25:22.30 ID:wYeojKr+0


鬼「まずはお前をさらう。わしが食うまで勝手に死ぬことは許さん。」

女「ですが、私はもう・・・」

鬼「お前の言う事を聞く理由はもうない。わしの好きなようにする。」

女「・・・ではどうぞ、召し上がってください。」

鬼「芋を食い過ぎたからの。生憎と今は腹いっぱいじゃ。まずはわしの住処に連れて帰る。」

女「わかりました・・・」


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:32:58.87 ID:wYeojKr+0


鬼「もう、人と関わることは叶わんじゃろう。何かやり残したことはないか?」

女「何の未練もありません。」

鬼「ではもう寝ろ。明日迎えに来る。」

女「明日ですか?」

鬼「夜の山を登るのはお前にはキツかろう。先に兄者に言うておくこともあるしの。」

女「お兄様に?何をですか?」

鬼「お前はわしのもんじゃから、勝手に食うてはならぬ。とな。」


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:37:45.21 ID:wYeojKr+0


鬼「ここがわしの住処じゃ。中は案内するまでもあるまい。」

女「私を食べるのではないのですか?」

鬼「もちろん食うぞ。」

女「ではなぜ、まだ生かしておくのですか?」

鬼「いつ何どき食おうがわしの勝手じゃ。」

女「本当は・・・食べるつもりなどないのではないですか?」


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:41:12.52 ID:wYeojKr+0


鬼「わかるか・・・まあ、わしらは嘘をつくのが下手じゃからのう。」

女「どうして・・・」

鬼「じじいとの最後の勝負じゃ。万が一、お前がそんな顔をして戻ってきたら・・・と、な。」

女「お爺ちゃん・・・」

鬼「酒に酔うという事があんなにキツイものとは知らなんだ・・・」

女「飲み比べをしたのですか。」

鬼「それから、これを渡すように言われておる。」

女「これは・・・竹の櫛・・・ですか。」


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:47:56.33 ID:wYeojKr+0


鬼「じじいにならってわしが作ったものじゃ。受け取ってくれるか?」

女「・・・はい。大事にします。」

鬼「よいよい。壊してしもうたら、また作ればよいだけじゃ。」

女「そういうわけにはまいりません。」

鬼「なんでじゃ?」

女「・・・ひょっとして櫛を贈る事の意味を御存じないのですか?」

鬼「はて、じじいは何も言ってはおらんかったが?」


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:52:02.49 ID:wYeojKr+0


鬼「これが求婚の証じゃと!?」

女「やはり、知らなかったのですね。」

鬼「・・・何から何まで食えんじじいじゃ。」

女「ふふっ。」

鬼「おお、ようやく笑ったの。」

女「知らなかったのであれば、反故にしますか?」

鬼「まあええわ、一人くらい人間と契る鬼がおってもええじゃろ。」


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 00:58:42.82 ID:wYeojKr+0


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

鬼「兄者がお前の歌を褒めておったぞ。」

女「なんだかちょっと恥ずかしいですね。」

鬼「なにを歌っておったのじゃ?」

女「この子に子守唄を聞かせておりました。」

鬼「この子?」

女「あなたの子です。私の中に居ます。」

鬼「なんと!」


――――――――――――――――――――おわり


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/25(日) 01:01:01.20 ID:5N+Ostd00


乙でした
二人ともなんと!言い過ぎだろww



    スポンサーサイト娘「お前は今日から私の家来なの!」のコメント
  1. 名前:名無しの中毒者◆-[saga] 投稿日:2011/10/27(木) 21:58:51.00 ID:SSJUNKIE630
  2. 鬼の子の事、後半まで女の子で想像してたわ
  3. 名前:名無しの中毒者◆-[saga] 投稿日:2011/11/11(金) 12:48:58.00 ID:SSJUNKIE660
  4. 前作とセットじゃないと魅力半減だろこれ
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